2型糖尿病のGFR推定式は過小評価となる
2007年 01月 30日
Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO)にまとめられているが、KDIGO International Controversies Conference: Definition and Classification of Chronic Kidney Disease in Adults Worldwide
重症度と治療におけるCKD分類(2004)
クレアチニン・クレアランスでなくでなく、糸球体濾過量(GFR)を用いたガイドラインとなり、正確なGFR測定は腎生検施行症例や腎移植ドナーなどに限定的となっている。故に、イヌリンクリアランス測定は一般医には無関係となった。実際、昨年4月から健保適用から外れてしまった。イヌリンクリアランスは片方では保険適用(イヌリード注もH18.6.1から健保適用)
糖尿病腎症初期においてはたしか濾過率は増加するはずで、クレアチニンベースの推定式では、それを過小評価している可能性があるかもしれない。
How Reliable Is Estimation of Glomerular Filtration Rate at Diagnosis of Type 2 Diabetes?
Diabetes Care 30:300-305, 2007
Cockcroft-Gault (CG) と Modification of Diet in Renal Disease (MDRD)はGFR推定に推奨されている。
真のGFR、すなわち、 51Cr-EDTA法による測定により、2型糖尿病の新規診断・治療(歴)無し患者を測定
【研究デザインと方法】
292名の主に正常アルブミン尿(241/292)を組み入れ
1群:軽度腎障害:GFR <90 ml/min per 1.73 m2
2群:正常腎機能:GFR 90 ml/min per 1.73 m
推定GFRをCGとMDRD式で計算
iGFRとして、51Cr 1MBq投与にて44,120,180,240分採血サンプルにて測定
【結果】
1群にて、平均(±SD)
iGFR 83.8 ± 4.3 ml/min per 1.73 m2.
eGFR(CG) 78.0 ± 16.5 ml/min per 1.73 m2
eGFR(MDRD)73.7 ± 12.0 ml/min per 1.73 m2
検査によるバイアスの95%信頼区間は、CGによる場合 -11.1~-0.6、MDRDでは -14.4~-7.0
一致95%限界(平均バイアス ± 2SD)はそれぞれ -37.2 ~ -25.6 と -33.1 ~ 11.7
2群において
iGFR 119.4 ± 20.3 ml/min per 1.73 m2
eGFR(CG) 104.4 ± 26.3
eGFR(MDRD) 92.3 ± 18.7 ml/min per 1.73 m2
検査によるバイアスの95%信頼区間は、CGによる場合 -17.4 ~ -12.5 using CG and 、MDRDでは -29.1 to -25.1
一致95%限界(平均バイアス ± 2SD)はそれぞれ-54.4 ~ 24.4 と -59.5 ~ 5.3
【結論】
新規診断2型糖尿病患者においてGFR90ml/min/1.73m2の患者ではCG、MDRD式ともにiGFRの過小評価となる。
推定GFR式の限界があり、CKDの状況などその利用に限界が生じる
Cockcroft-Gault Calculator(with SI Units)
http://nephron.com/cgi-bin/CGSIdefault.cgi
MDRD GFR Calculator (with SI Units)
http://www.kidney.org/professionals/kdoqi/gfr_calculator.cfm
※CGの方が広く臨床応用されているが、高齢者、女性、体重減少でC生じる減少が考慮されていない。後者はそのことが考慮されているとされるが・・・(参考)
CGは日本人でも良好な結果だが、高齢者低め、体表面積補正がない
MDRDは欧米人では良好だが、日本人実測GFRより高く推定される(×0.741の補正をっも値いる場合がある)
日本腎臓病学会慢性腎臓病対策委員会では、MDRD式によるGFR推定で検討されているとのことで、70歳以下ではGFR<50ml/min/1.73m2、70歳以上ではGFR<40ml/min/1.73m2で、専門医紹介というのことである(日本腎臓病学会誌 48:140.2006抄録のみ)
血清シスタニンCに関しては腎前性の要因が少ないため早期腎機能低下の指標の可能性
まだ標準化が整ってない
by internalmedicine | 2007-01-30 10:54 | 動脈硬化/循環器