英国医師の収入・・・英国医療荒廃後の経緯
2007年 02月 02日
日本でも、収入はなぜか、医療収益=医師収入とされてしまう、これは外国でもそうらしいとBMJの記事をみてそう思った。
So how much do doctors really earn?
BMJ 2007;334:236-237
日本では有床診療所を含む大規模診療所(高コスト)や事務員1人の診療所まで開業医と一区切りされ、高い給与を医師がもらっていると思われている。
日本ではまだ開業医が少ないのである・・・まぁ 何をいっても、政府やメディアの洗脳された人たちは信じないだろうが・・・(無力感を感じるこの頃)
(引用:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0311-5b.html)
英国の話に切り替えるが・・・
単純比較はできないということを英国誌Independenceへの反論をBMAが述べている。
ヨーロッパというとあこがれの気持ちをもつ思考能力ゼロのテレビ出演者たちとは違い、英国の事情は日本の反面教師であることは、医療に係わる者たちは知っているはずである。
参考ウェブ多数あろうが・・・
英国医療事情1、英国医療事情2
サッチャーによる医療費抑制により、予想を超える医療の荒廃があった。ブレア政権はそのツケに悩まされているわけだ
英国の医療はN HS(国民保健サービス)による受診時原則無料の制度であり、低所得者でも安心してかかることができる。しかし、すぐに診療を受けられず待たされる時間が長いことが問題となっている。(引用:21世紀の保健医療を考える pdf)
日本においては、サッチャーのような政治が継続している。そして、医療荒廃が進んでいるのだが、政府は見て見ぬふり・・・担当大臣に至っては、自らの舌禍により、職務に専念すらできないようである(専念してもどうせ官僚・ケイダンレンの操り人形だろうが・・・)
Treasury reportによれば
◆UKの2003-2004年の平均サラリーは
£82 000.(日本円換算)
そして、2004-5では
◆GPの収入は、£106 000(日本円換算)
英国紙Independent推定で、
◆GPの平均収入
2005-2006年 £118 000
(日本円換算)
引用元:BMJ 2007;334:236-237 (3 February)
BMAも医療収入増加がここ2-3年で急激であることは認めている。急激に舵を取りすぎているような気がするのだが・・・
以上の金額をどうみるかが問題だが・・・日本の政府・財務省・厚労省・マスゴミなどはイタリアを目指すよう提言するのだろうか?・・・荒廃させた後を戻すのにはそれ以上の労力・コストがかかるのである。
年々増大する患者からの質・量ともにニーズが増大し、transparencyの取り込みなども要求されている。そして、政府からはIT企業や電機関連メーカーのためにIT導入を求められている。そのようなコストは医療報酬からは望めず、さらなるコスト増大となり、計算高い医療機関だけが生き残る・・・そういう医療荒廃もあるのである。・・・実態が明瞭化されなければ動かない役人たちにまかせ、情的に医者叩きをする国民・マスコミ・・・医療の現場のモティベーション低下の具体例は産科・小児科医師や僻地勤務医師の不足をみればあきらかであろう。
日本の医師数は適正なのかという、興味ある日本医事新報の記事があった。
イタリア・フランス・ドイツ・英国の医師数を比較してほしい。
高齢化に伴う潜在的医師需要及びフリーアクセスによる患者受診回数・入院数の高値を考えれば、日本の医師がいかに働かさせられているかが分かる。
これと医師給与のプロットをしたらおもしろいと思うのだが・・・
by internalmedicine | 2007-02-02 08:17 | 医療一般