慢性閉塞性肺疾患における小気道閉塞 ::::地味だがおもしろい検討

COPDのStageがかなり進んだ後でも、決して“燃え尽きた”後ではなく、リンパ
濾胞を介した炎症が関与した病態がある。

コロナイゼーションした細菌などが急性増悪などに関与しているのではなかろう
か?
浸出物を主体とした気道閉塞はFEV1などの重症度にあまり関与してないのでは?
(<独り言>去痰剤ばかり使うなよ・・・考えない医者ほどCOPDにビソルボン
ビソルボンなんてエビデンス無し、ムコフィリンくらいだろう・・

論文そのものは、“COPDにおける小気道閉塞の性質”

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The Nature of Small-Airway Obstruction in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
NEJM Volume 350:2645-2653 June 24, 2004 Number 26
【序】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は長期毒性ガス・粒子暴露に伴うメジャーな公衆衛生問題である。COPD患者の気道閉塞の病理組織的影響の展開を検討。
【方法】159名の患者の肺切除組織で評価
stage 0:39
stage 1:39
stage 2:22
stage 3:16
stage 4:43
(GOLD)
【結果】
COPDの進展は壁の組織量 (P<0.001) 、小気道の内腔の炎症性粘膜浸出物と相関 (P<0.001)
気道の比率:多形核白血球(P<0.001)、マクロファージ(P<0.001、CD4細胞(P=0.02)、CD8細胞(P=0.038),、B細胞(P<0.001)、ろ胞のリンパ球集簇(P=0.003)もCOPD進展に伴い増加。
【結論】COPD進展は、気腔内の炎症性粘液浸出物の集積 と リンパ濾胞から形成される、本来のものと適応性のものが存在する、その炎症細胞による気道の浸潤も相関
この変化は修復とリモデリングプロセスを合体したもので、気道の肥厚へと進展する
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解説の概略
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世界的に見て2020年にはdisabilityの5番目となると推定
米国では入院原因として4番目だが死亡原因としてコモンなもので20年間その罹病率が増加している。入院コスト、就労機会・時間の損失も伴い喘息と関連する費用を凌駕する状態である。若年層には無視される病態であるが、その細胞・分子的メカニズムの探求により疾患の進展が遅延化される可能性もある。
COPDは途上国では毒性ガス・粒子暴露、喫煙によるものが90%以上であり、バイオマス燃料からの煙野吸入、特に換気されていない家庭での調理も重要な原因となる。COPDに進展するのは少数(10-20%)にすぎない。喫煙による感受性は個体差があることが示唆される。FletcherとPetoの疫学的研究で、COPDの死亡・disabilityは肺機能の時間的低下と関連、COPDで1秒量(FEV1)は年50ml以上の低下、正常者は20ml程度である。FEV1減少の進行と疾患重症度の時間的進行の結果、労作時息切れの増加と呼吸不全への緩徐な進展を来す。
FEV1減少促進と病因の関連について多くの議論がある。

3つのメカニズムが互いにそしてすべてが喫煙や有毒物質吸入で悪化する可能性があるが個々でメカニズムが異なる可能性。小気道閉塞が肺の過膨張を生じ、労作時息切れを生じ進行し安静時でも呼吸苦を来す。
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1)肺気腫の結果としての、弾性の欠如と肺胞の気道へのアタッチメントの破壊、それが支持を喪失し、呼気時小気道の閉塞を生じる。
2)炎症や瘢痕化の結果として小気道狭窄
3)粘液性分泌物による小気道腔の遮断
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Hoggらは、COPD病状進行の小気道の役割についての新しい情報を定量的な組織学的検討によりFEV1との関係で新しい知見を得た
1)重症度、FEV1の%予測値と小気道壁の肥厚と有意な相関があること
2)気道壁肥厚は炎症細胞浸潤(マクロファージ、好中球、リンパ球)、構造的変化(気管の外測や上皮下の平滑筋、繊維の増加)にもつづくこと
3)重症度と表面の杯細胞からの粘液分泌物や炎症性浸出物による気腔閉塞はより弱い相関
4)もっとも重症病変の特徴はリンパ濾胞の存在で、T細胞周囲に存在するB細胞からなる。免疫反応、おそらく慢性のコロナイゼーションに基づく細菌抗原からで、重症の特徴づけとなる


小気道の炎症の重要性というハイライトであり、疾患の進展、重症度の決定因子でもある。炎症反応は正常喫煙者でもみられるがその反応が増幅されたものがCOPD患者で見られる。分子生物学的メカニズムは不明だが、遺伝子多型性により生じるものだろう。
“もえつきた”というより時とともにCOPDの炎症反応は重症度ととも、時とともに増加するように思える。
この知見はCOPDの将来の治療がかいま見れる点で重要
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by internalmedicine | 2004-06-24 13:38 | 未分類  

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