イヌ咬傷

田舎のため、開業医というのはなんでも診れるのが当然と思われているようで、イヌ咬傷というのはなぜか私のところにもやってくる。

“洗浄、debridement”を局麻下処置、傷を洗え! 閉鎖するな!という初期治療の基本

あとは、Pateurella感染対策が英国では主体のようである

Clinical Review Dog bites
BMJ 2007;334:413-417 (24 February)
・創傷管理は感染予防として抗生剤使用が重要

・感染のリスク大の四肢外傷の初期創傷閉鎖は避けるべき

・感染リスクが高い場合は、予防としてはco-amoxiclavの選択
(CVAだけ使っても・・・という疑問が残る。アモキシシリン・クラブラン酸だと思うのだが・・・)

・Pateurellaは通常抵抗性なので、エリスロマイシンやflucloxacillinの単独使用は避けるべき

・Pasteurella multocidaによる創傷感染は12時間で成立

・特に高いリスクのある患者は免疫抑制状態、無脾、肝硬変、乳房切除後の患者では注意が必要


破傷風の予防やトキソイド接種など記載がないが・・・





パスツレラ症〔Pasteurellosis〕

日本大学医学部臨床検査医学:ちょっと不安を煽りすぎでは・・・・


Pasteurella multocidaは主に猫に、イヌや他の動物にも存在。主に、咬傷により感染し、時に明らかな暴露が無くても感染することもある。
The New England Journal of Medicine で、猫咬傷の75%、イヌ咬傷の50%にpasteurella種の感染が認められたと報告。P. multocida感染の多くは、皮膚である。猫・イヌ咬傷後、発赤・腫脹し、急激に生じるが、時に24時間以内に発症することがある。腫脹と疼痛が主であり、咬傷が深部に達する場合、骨・関節へ波及する場合がある。これは主に猫咬傷の場合に生じる。猫の歯は薄く鋭いので、表面の傷が極小さくても非常に深い場合がある。

P.multocidaによる他の症候群として、肺炎や他の呼吸器感染があり、通常肺の基礎疾患のある場合である。喉頭蓋炎の報告、腎感染症・髄膜炎の報告もある

皮膚・軟部組織感染の場合典型的には予後は良好で、抗生剤で速やかに反応する。治療しない場合、感染は広がり、血流にのり、敗血症や死に至ることすら有る。骨・間接感染、重症の皮膚感染の場合も静脈内抗生剤治療がなされる。一度回復したら、治療は完全に回復する。
重篤な感染の場合死に至ることがあり、骨感染は慢性化の場合がある。

参考


あと・・・狂犬病



こどもには、犬を飼うときにはエチケットを教えよう(ABC news videopod)
Teaching children good dog etiquette can save them from serious injury.070223nwo_medminute_dogbite.m4v

by internalmedicine | 2007-02-23 11:22 | 感染症  

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