病院とプライマリ・ケア医とのコミュニケーションと情報伝達



ポイントを抑えた紹介状・サマリーってのは、病院医師・プライマリ・ケア医とも永遠なる課題なのかもしれない。患者の問題点が整理されておれば自ずとポイントもはっきりしているはずなので、結局は臨床の能力に係わるって事なのかもしれない。


日本の開業医のほとんどは勤務医を経験しているわけで、紹介状と共に送られた患者を診ることを経験し、退院時にサマリーを書き、それを紹介先に添付するということもほぼ経験していると思う。

今思えば、私自身亜h、一般病院を経験したとき、結構いい加減にしてたなぁ・・・と今更ながら思い、今の先生たちはほぼきちんと退院サマリーを書いてよこすので感心する。

JAMAの論文を見る限り、日本の方がきちんとしてるんだなぁ・・・我々の勤務医時代よりひどいのかもしれないアメリカの病院とプライマリ・ケア医とのコミュニケーション・・・マスゴミはそれでもアメリカの医者の方がしっかりしていると信じ切っているんだろうなぁ・・・と


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病院ベースと外来プライマリ・ケア(PCP)のコミュニケーションの遅れと不正確性があれば、患者のケアに不都合を生じる可能性があり、情報伝達が完全かどうか不明である。
Kripalaniらは病院-PCP間のコミュニケーションと情報伝達不足の種類と頻度を調査
その同定による介入によりこのプロセスが改善したかどうかの調査。

結果、コミュニケーションの遅れと欠如が普通に見られ、介入、たとえば、コンピュータによる退院サマリーと患者にそれを運ばさせることが患者・医者コミュニケーションの改善をもたらす。

Deficits in Communication and Information Transfer Between Hospital-Based and Primary Care Physicians
Implications for Patient Safety and Continuity of Care
JAMA. 2007;297:831-841.
情報源:MEDLINE (through November 2006), Cochrane Database of Systematic Reviews, and hand search of article bibliographies.

退院時コミュニケーションと情報伝達の観察研究(n=55)と情報伝達改善介入対照研究(n=18)

退院時コミュニケーションの利用、時間の遅れがないか、内容、フォーマット、PCPの満足度
介入の結果は時間の遅れがないか、正確性、徹底性、総括的情報伝達の質

病院医師とPCPの直接のコミュニケーションは頻回ではない:3%-20%
退院後来院時の退院サマリーavailabilityは低い:12-34%
4週間後poorのまま放置:51%-77%
フォローアップ受診時のケアの質25%に影響を与え、PCPの不満をもたらす。

退院サマリーの質としては
・重要な診断検査の欠如:33-63%
・治療・入院時経過の欠如:7-22%
・退院時処方の欠如:2-40%
・退院時未解決の検査結果欠如:65%
・患者・家族のカウンセリング欠如:90-92%
・フォローアッププラン欠如:2%-43%

いくつかの介入、コンピュータベースによる退院サマリーや患者にそれを運ばせることは退院時コミュニケーションの時間短縮につながる
もっとも適切な情報を強調する標準フォーマットを使用することで文書の質を改善することとなる

by internalmedicine | 2007-02-28 09:16 | 医療一般  

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