喫煙者におけるCOPD発症は、運動量の多い人は少ない人に比べ少ない

Regular Physical Activity Modifies Smoking-related Lung Function Decline and Reduces Risk of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
A Population-based Cohort Study
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 175. pp. 458-463, (2007)
前向きの研究で、身体活動性の高さが、喫煙者においてのCOPDリスク減少につながる可能性

住民ベースのサンプル(n=6790)で、身体活動性、喫煙、肺機能、他の因子を評価
“low”、“moderate”、“high”に身体活動性を分類し、FEV1、FVC評価

中等度・高度身体運動を有する現行喫煙活動性のある人は身体運動が少ないヒトに比べ、肺機能衰弱リスク要因補正後もFEV1、FVC減少が少ない。(relative change of +2.6 and +4.8 ml/yr of FEV1, P-for-trend = 0.006, and +2.6 and +7.7 ml/yr of FVC, P-for-trend < 0.0001, for the moderate and high physical activity group, respectively)
中等度・高度身体活動性を有する喫煙者は低活動性の喫煙者に比べCOPD進展リスク減少(odds ratio, 0.77; p = 0.027).


気道閉塞機転と身体運動が関連するというのはにわかに信じがたくて気道閉塞という病理的な機転と身体運動という変化をどう説明するのだろうか?

今までの報告は、COPD患者でその筋のenduranceなどの制限により身体運動が制限されるというもの(e.g. Chest 1998;113;900-905 I Serres, V Gautier, A Varray)であり、骨格筋萎縮や脆弱性が負の予後因子ということであった(State of the Art Am J Respir Crit Care Med Vol 172. pp 19–38, 2005)

COPD発症まで抑制するという身体活動性というのはどういうメカニズムなのだろうか?
以前の報告(British Journal of General Practice, Volume 52, Number 480, 1 July 2002, pp. 574-578(5))では、軽症・中等症COPDでは運動による、呼吸困難、QOLの軽減に関しては結論づけられていないし、運動能力は改善するが、QOLや呼吸困難度、長期進展に関しては不明であるという報告であり、今回の対象は、健常者からのCOPD発症なので、より不明瞭化しやすいと思ったが意外なほど明瞭な結果であったのが逆に不思議

by internalmedicine | 2007-03-05 09:43 | 呼吸器系  

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