bystander心肺蘇生では胸骨圧迫単独の蘇生の方が優れている
2007年 03月 16日
「現場に居合わせた人による心肺蘇生」(バイスタンダーCPR)は「胸骨圧迫30回毎に人工呼吸を2回行う」となっているが、胸骨圧迫心臓マッサージ単独の方が脳の機能温存上優れていたという話。
以前紹介したことのある論文:
Cardiopulmonary Resuscitation by Chest Compression Alone or with Mouth-To-Mouth Ventilation. N Engl J Med 2000;342:1546-53
だが、踏み込んだ論文ということだろうか。
Cardiopulmonary resuscitation by bystanders with chest compression only (SOS-KANTO): an observational study
The Lancet 2007; 369:920-926
マウスツーマウス換気はbystander CPR施行の障壁であるが、、マウスツーマウス換気無しの心臓マッサージ(胸骨圧迫)なしの蘇生術(cardiac-only resuscitation).の有効性に関するトライアルは少ない
院外心停止患者への前向き、多施設、観察研究
プライマリエンドポイントは心停止30日後の良好な神経学的アウトカム
4068名の成人院外心停止患者でbystander目撃例
439 (11%) が心蘇生のみ
712 (18%) が通常 CPR
2917 (72%) がby stander CPR受けず
蘇生トライ群は非蘇生群より神経学的アウトカムは良好比率が高い(5·0% vs 2·2%, p<0·0001).
心蘇生のみでは通常のCPRより神経学的アウトカムは良好比率が高い
無呼吸(6·2% vs 3·1%; p=0·0195)
with shockable rhythm (19·4% vs 11·2%, p=0·041)
4分以内スタートした蘇生(10·1% vs 5·1%, p=0·0221)
どのサブグループでもマウスツーマウス換気を加えるbenefitを示すエビデンスがなかった。
心蘇生のみの神経学的アウトカム良好な方の、どのbystander心肺蘇生比較でも、補正オッズ比は2.2(95%CI 1.2-4.2)であった。
bystanderによる心肺蘇生は、マウスツーマウス補助換気+胸骨圧迫が主であるが、マウスツーマウス換気というのは、感染の危険故に、また、CPR技術がさらに複雑になるという面で不本意なものであった。CPRガイドラインでは、指令補助蘇生の場合あるいは、マウスツーマウス拒否や不能例では、bystanderの心マッサージのみの蘇生が推奨されている。しかしこのテクニックは一般的には知られておらず、推奨もされてないし、一般への教育もなされてない。臨床研究も少なかった。
今後のガイドライン変更がなされる可能性がたかいとのこと
by internalmedicine | 2007-03-16 17:07 | 動脈硬化/循環器