バゾプレシン拮抗薬トルバプタンは心不全治療のエベレストか?
2007年 03月 26日
バゾプレシン拮抗剤関係薬剤というのは、フィズリン錠30㎎(成分名「モザバプタン塩酸塩」)が、オーファンドラッグとして、“異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)”の適用を受け、いろいろ治験もされているようである。
V2受容体拮抗剤 Tolvaptan、V1/V2受容体拮抗剤 conivaptan(Vaprisol)等あるようである。
TolvaptanのNJEMの論文は紹介したが、今回は、Tolvaptanの急性非代償性心不全治療治験(EVEREST:the Efficacy of Vasopressin Antagonism in Heart Failure Outcome Study With Tolvaptan)の2報・JAMA速報掲載
Effects of Oral Tolvaptan in Patients Hospitalized for Worsening Heart
Failure: The EVEREST Outcome Trial
for the Efficacy of Vasopressin Antagonism in Heart Failure Outcome
Study With Tolvaptan (EVEREST) Investigators
JAMA published 25 March 2007, 10.1001/jama.297.12.1319
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/297.12.1319v1?etoc
Short-term Clinical Effects of Tolvaptan, an Oral Vasopressin Antagonist,
in Patients Hospitalized for Heart Failure: The EVEREST Clinical Status
Trials
for the Efficacy of Vasopressin Antagonism in Heart Failure Outcome
Study With Tolvaptan (EVEREST) Investigators
JAMA published 25 March 2007, 10.1001/jama.297.12.1332
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/297.12.1332v1?etoc
Konstamらは、入院必要性のある心不全増悪安全性と臨床的アウトカムへの包括的長期効果について、Gheorghiadeらは短期的急性症状改善効果を報告。
tolvaptanは急性非代償性心不全(ADHF)の特定の症状を改善し、腎不全悪化などの有害作用をみとめないということ
だが、1年後の死亡率や心不全関連の合併症を改善しないという報告になってしまっている。
実は、ADHFの治療で、大規模ランダム化、プラセボ対照治験でよりpositiveに効果のある薬剤はしられてない。たとえば、昇圧剤は死亡率を増加させ、カルシウムsensitizerは心血管死亡率増加と相関との報告がある。Nesiritideは呼吸苦改善、短期的肺うっ血を改善、中間的死亡リスク増加と相関がある。伝統的血管拡張薬剤効果はHF症状を改善するが、ニトログリセリンもnitroprussideも前向きランダム化研究がなされていないため、死亡率への影響は不明である。利尿剤でさえ、うっ血は改善するが、臨床的アウトカムへの影響は不明である。
AVP(Upregulated arginine vasopressin)のupregulateされた刺激の存在が不適用な神経ホルモン環境にとって重要な役割を果たし、AVPは腎臓の皮質集合管に存在するV2AVP受容体を介して自由水のretensionを促進し、血液量を増加させ、血管収縮・心臓のV13受容体を介して心肥大をもたらす。
AVP V2受容体選択的抑制剤による小規模研究で、うっ血減少、体重減少、低ナトリウム補正が報告されていた。
1)短期的な全般改善はtolvaptanとプラセボに有意な差がなかった。
2)繰り返す心不全入院や死亡改善効果が示せなかったことは、有害性を否定する根拠になるのかもしれないが、長期ベネフィットを確約するものでなかったということは期待はずれであった。
3)口渇・口腔内乾燥という副作用が多く、重篤なイベントは少ないものの、これが使用の制限因子となる可能性がある。
4)AVP拮抗の低ナトリウム補正作用は134未満の患者比率が少なかったので効果として得られなかった。
5)今回対象のすべての患者で駆出率低下の既往があり、他のADHF比較との場合注意すべきである。
6)利尿剤使用がtolvaptan治療例で少ない。利尿剤低使用が良いアウトカムをもたらし可能性を除外する必要性もあるだろう。
by internalmedicine | 2007-03-26 08:27 | 動脈硬化/循環器
