ExenatideはTDZ治療にて至適治療域に至らない2型糖尿病血糖コントロール改善

BYETTA(Exenatide)は
2型糖尿病患者で低下している、ヒトのインクレチンホルモンGLP-1(glucagon-like peptide-1)と同様作用を示す。BYETTAは直接GLP-1受容体に結合し、5つの鍵となるincretin効果を示すこととなる。β細胞の反応性も含む効果である。

GLP-1の異常による要因
・インスリン分泌低下
・肝ブドウ糖放出促進
・グルカゴンの肝臓内糖新成増加刺激
・胃運動性亢進
・食事摂取増加(中枢神経を介した機序)




これに対する薬剤ということになるのだろう・・・

The Effect of Adding Exenatide to a Thiazolidinedione in Suboptimally Controlled Type 2 Diabetes
A Randomized Trial
Ann Int Med 3 April 2007 Volume 146 Issue 7 Pages 477-485
【背景】Byetta (exenatide)治療は2型糖尿病治療におけるmetforminやSU剤の併用療法に効果的である。
Thiazolidinediones (TZDs) もよく用いられているが、TZDとexenaideの併用効果は不明
【目的】exenatide vs placeboの血糖コントロール比較
【デザイン】プラセボ run-in、ランダム化、二重盲験、プラセボ対照トライアル(2004年5月から2005年8月)
【セッティング】カナダ・スペイン、USの49カ所
【患者】 233 (exenatide 群 n = 121; プラセボ群 n = 112)
TZDにて至適以下のコントロールである2型糖尿病患者(metformin治療の有無は問わない)
平均 (±SE) ベースライン糖化 hemoglobin A1c 値は、7.9% ± 0.1%

【介入】exenatide 10μg腹部皮下注射 と プラセボ いずれも1日2回
【測定】プライマリアウトカム:糖化ヘモグロビンA1c値の変化
他のアウトカムは空腹時血糖値、体重、血糖自己測定値、他の副作用

【結果】Exenatide治療は糖化ヘモグロビンA1値を減少
(平均的相違 –0.98% [95% CI, –1.21% ~ –0.74%])

空腹時血糖(平均的相違 –1.69 mmol/L [–30.5 mg/dL] [CI, –2.22 ~ –1.17 mmol/L {–40.0 ~ –21.1 mg/dL}])

体重 (平均的相違–1.51 kg [CI, –2.15 to –0.88 kg])


exenatide群の16%、プラセボ群の2%で副作用のため治療中断

exenatide群では、40%(n=48)で吐き気(ごく軽度 [n = 21] or 中等 [n = 19])、嘔吐 13%、11%低血糖(対照で、15%吐き気、1%嘔吐、7%低血糖)

【研究の制限因子】TZDやSU剤との併用は検討せず
トライアル期間が比較的短い
exenatide 71%、プラセボ 86%で研究完遂

【結論】TDZ治療にて至適治療域に至らない2型糖尿病患者にExenatide治療は血糖コントロールを改善し、体重を減少させ、胃腸症状出現させる


ref.)

FDA認可というニュースもあった。Janumet (sitagliptin/metformin hydrochloride) Tablets(Merck & Co.)が商品名
24週、ランダム化、二重盲検プラセボ対照治験(HbA1c8%平均 701名)でmetformin+プラセボより0.7%平均的に減少とのこと


こういうのをみると、処方薬剤が増えるほど処方点数が下がる現在の制度というのはどうなんだろう?
糖尿病三大合併症+心筋梗塞後遺症+高血圧+高脂血症+高尿酸血症(痛風既往あり)+・・・という患者を6剤以下でコントロールせよというばかげた制度をどうにかしてほしいと思う。厚労省の医官にならできるのだろう・・・彼らにやらせてみたい。

プレミネント認可以降もコンボ薬剤の発売が多くうわさされている。処方数増加による処方料罰則というばかげた制度のおかげもあり、日本でもコンボ薬剤は成功を収めると思う。製薬会社にとっては日本のコンボ薬剤はジェネリック回避の意味もあるようだが・・・

by internalmedicine | 2007-04-04 08:13 | 動脈硬化/循環器  

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