ニューラミニデース阻害剤抵抗性インフルエンザB出現と感染性
2007年 04月 04日
畠山先生らのJAMAへの報告:フリーテキストとなっているので原著を参照いただきたい。
(マスコミから変なバイアスを吹き込まれる前に)
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Emergence of Influenza B Viruses With Reduced Sensitivity to Neuraminidase Inhibitors
JAMA. 2007;297:1435-1442.
oseltamivir治療を受けた74名の子供のうち1名で、薬剤感受性減少を示すGly402Ser neuraminidaseをもつ変異ウィルスが見つかった。
Asp198Asn、 Ile222Thr、 Ser250Gly 変異を治療をうけてない患者422名のうち7名(1.7%)で見つけた。
7名の臨床的・ウィルス遺伝情報のレビューにより4名は地域から、3名は兄弟からの感染疑いが強いと判断した。
広がりすぎた抗ウィルス治療によりインフルエンザの薬剤耐性も確実に広がっているようである。抵抗性と関連した遺伝的変異を有するインフルエンザBの頻度と伝播性を評価した報告により確認されたわけだが、この種の変異ウィルスの伝播は、家庭内で確実に、そして地域内でも、ヒト・ヒト感染をしているのである。
エディトリアル(JAMA. 2007;297:1492-1493.)で、McKimm-Breschkinはneuraminidase阻害剤抵抗性インフルエンザについての知識と抗ウィルス治療やその臨床的使用について議論されている。
“タミフル脳症”とやらに関心が向きすぎているようにも思えるのだが、タミフル”過剰”処方による耐性ウィルスの増加が当たる影響もやはり考慮におくべきであろうし、処方の仕方も今後変えざる得ないだろう。
マスコミの馬鹿どもは相変わらず、インフルエンザがらみの合併症をすべてタミフルにからめて報道している。
かれらに、統計学や疫学の素養がないため、話が全く通じないのではないかと思う。新聞やテレビなどの報道機関にあるものには統計学や疫学を必須科目にすべきではないだろうか?あまりにばかげて報道が多すぎて・・・
by internalmedicine | 2007-04-04 10:02 | インフルエンザ