Invariant T-Cell--Receptor+ Natural Killer 細胞と喘息の関係はガセ?
2007年 04月 05日
喘息は、粘膜樹状細胞による抗原提示からはじまるCD4+ helper T細胞(Th2)に起因する気道の炎症が特徴とされる。Akbariらが見いだした、喘息患者の気道においてCD4+T細胞が約60%がinvariant natural killer T細胞、健常者では認められないという所見。この細胞は免疫調整T細胞のサブグループで、抗原提示分子CD1d拘束性T細胞のサブグループである。
以前このinvariant T細胞受容体+のNatural Killer T細胞を喘息病態のmainstreetする論文を当ブログでも報告した。
参照:CD4+ Invariant T-Cell--Receptor+ Natural Killer T Cells(当ブログ 06/03/16)ユニークなリンパ球サブグループはclassic T細胞やnatural killer cellの特徴を有している。ヒトでは、natural killer T 細胞はCD4、CD8(少数ではあるが)、を発現しているか、CD4/CD8とも発現しない(double negative cell)
多くのnatural killer T cellは、T細胞受容体の高度拘束性のレパートリー、Vα-Jα18(マウス)とVα24-Jα18(ヒト)からなり、invariantT細胞受容体を有するnatural killer T cell(invariant natural killer T cell)と呼ばれる。
nonpolymorphic class I MHC-様蛋白CD1d、抗原提示細胞により発現する、ペプチド抗原というよりglycolipid抗原による特性を有している。
invariant natural killer T cellは大量のTh1-biased cytokine(インターフェロンγ)、Th2-biased(IL-4)を産生し、樹状細胞、natural killer cellやB細胞の機能促進的に働き、通常のCD4,CD8+ T細胞の機能として働く。
invariant natural killer T 細胞の強力な刺激となる、α-galactosylceramideに暴露させた気管支肺胞洗浄(BAL)細胞は、Th2サイトカインを産生する。このプロセスはアレルギー性気道炎症に重要な役割と考えられ、喘息患者で invariant natural killer T細胞の増加が報告されている。しかしながら、Akbariらの報告より比率が少ない。0.4~2.1%というThomasらの報告であった。
Akbariらの報告と異なり、今回のNEJMの論文では、軽症・中等喘息・安定COPD、急性増悪時COPD、健常者の気道にはinvariant natural killer T細胞は少なく、invariant natural killer T細胞の病態関与に強い疑念をもたらずえなくなった。
やはり、class II MHC拘束T細胞に主眼がおかれるべきではなかろうか・・・という話
Invariant Natural Killer T Cells in Asthma and Chronic Obstructive Pulmonary Disease
NEJM Volume 356:1410-1422 April 5, 2007 Number 14
No expression of messenger RNA for the invariant natural killer T-cell–receptor domains V{alpha}24 and Vbeta11 was detected in bronchoalveolar-lavage cells from subjects with asthma.
by internalmedicine | 2007-04-05 09:29 | 呼吸器系