女性専用心血管疾患(CVD)予防ガイドライン(AHA)

女性専用ガイドライン
http://circ.ahajournals.org/rapidaccess.shtml


AFP解説に基づく・・・

10年間に2%慢性疾患による死亡を減少することで360万人を救うことができると推定
今まで例外を除いてAHAガイドラインは男性と異なるものでなかった。その上、妊娠中・妊娠希望の女性にcontraindicationであることも含まれていた。20歳以上の女性へのCVDガイドラインである。

1つ以上の心臓疾患リスク要因、subclinicalな疾患を有する場合、運動能力の低下、不健康なライフスタイルをもつ女性ではCVDリスク状態にあると判断する。




病歴・生活歴といった要因、Framinghamリスクスコア、CVD家族歴、遺伝的要因(家族性高コレステロール血症など)がCVDリスク要因として考慮される。
リスク要因:
高リスク
10年Framinghamリスク>20%
腹部大動脈瘤
CVD
糖尿病
慢性腎疾患end-stage
冠動脈疾患確定
末梢動脈疾患

リスク状態
subclinicalな血管疾患のエビデンス
メタボリックシンドローム
CVDのmajor risk 一つ以上
脂質異常
若年性(男性55歳未満、女性65歳未満の家族)のCVD家族歴
高血圧、高脂血症(特に中心性)
運動不足
喫煙、不健康食事

トレッドミル試験の運動耐用能低下 and/or 運動停止後の心拍回復異常

最適なリスク状態
Framingham包括リスク <10%、健康なライフスタイル、リスク要因なし



ライフスタイル介入
喫煙
身体活動性:中等度運動(早歩きなど)を最低30分ほぼ毎日、体重減少目的なら毎日60-90分行う
体重:BMIは18.4-24.9、ウェスト径は35インチを超えない
食事:果物野菜をリスク状態の女性では推奨。
選択された全粒粉/高繊維質食品、魚脂豊富な魚を週最低2回摂取を推奨。
食事性のコレステロール<1日300mg
飽和脂肪酸は7-10%を超えない
高脂血症リスクの女性では飽和脂肪酸7%未満、コレステロール1日200mg未満に

ω3脂肪酸カプセルはCHD女性に考慮

リハビリテーション
うつ:CHDの女性はうつスクリーニングすべき


major risk factor介入
血圧
至適血圧は120/80:生活指導を強化
140/90以上、CKDもしくは糖尿病のある場合は130/80以上なら薬物療法推奨
禁忌がないもしくは他の推奨薬剤がない場合はまずサイアザイド系利尿剤を推奨する
コントロール不良なら、β遮断剤単独使用の場合、ACE阻害剤やARBとの併用、サイアザイド剤に追加が必要となる。

脂質
LDL<100、HDL>50、TG<150、非HDL値<130mg/dL
CHDや他の動脈効果性CVDを有する場合、糖尿病合併の場合、10年絶対リスク>20%の場合、LDL低下薬剤をライフスタイル介入とともに推奨し、LDL<100mg/dLを目標とする
非常にリスクが高い状態(糖尿病と冠動脈疾患を有する場合)はLDL<70mg/dLを目標
LDL低下治療は中等度リスク(multiple risk factoや10年絶対リスク:10-20%)でも推奨
10年絶対リスク10%未満の女性ではLDL>160mg/dLなら治療適応

高リスク群とmultiple risk factorで10年絶対リスク10-20%の女性ではフィブラートあるいはniacin治療をHDL低値なら考慮すべき

糖尿病;
A1c<7


薬剤介入
アスピリン
禁忌がなければ、アスピリン75-325mgをCHDあるいは他の動脈硬化性CVD、糖尿病、10年絶対リスク20%超の女性に適応とする。
・65歳以上では、血圧コントロール下で、心筋梗塞・虚血性卒中が出血性リスクを上回る場合や消化管出血リスクを上回る場合、81mg-100mg隔日投与が推奨
・65歳未満の女性でも同様の推奨がなされ、副作用に比重がやや重くなる
β遮断剤:
禁忌がなければ、①急性冠症候群、②左室機能障害、心不全症状の有無にかかわらず、③心筋梗塞後の女性全員に使用すべき
ACE阻害剤/ARB:
糖尿病、心筋梗塞後・心不全・左室駆出率40%以下の場合、ACE阻害剤を考慮すべき。ARBはACE阻害剤耐用性のない場合使用。
アルドステロン遮断剤:
心筋梗塞後・心不全の糖尿病合併症の場合、ACE阻害剤・β遮断剤の治療量投与後推奨、ただ、腎機能障害・高カリウム血症に注意







女性専用車両があるくらいだから、女性専用ガイドラインがあっても悪くないのだが・・・男性専用も作れ!・・・などと男としては言いたくなるが・・・

運動毎日、全粒粉食、低リスクでのコレステロール治療開始時期、血圧薬物はやはりサイアザイド系第一選択など気になった。


ところで、全国に女性外来なるものができたと言っていたが、あれはどうなったのだろう。女性外来って存在意義や目的がよくわからない。女性に特化した外来といってももともと男性との対比でできるのであり、診療スキルは男性の特異性も知らなければならないわけで・・・
集客のための医療であり、医学がそこにかんじられないのだが・・・不勉強なだけかもしれないので、是非、学術的発表を願いたいものだと・・・

by internalmedicine | 2007-04-07 08:37 | 動脈硬化/循環器

 

<< 好中球数 長生きのためには食うな! >>