肺ガンCT検診は検出に十分

ヘリカルCT検診をまともにするにはやはり高リスク患者の選別が前提であろう
試験前確率を無視した住民検診に関してはあまねく問題点が多く、日本の厚生行政の矛盾そのもの、これは日本人が確率論を理解してないことに起因するのかもしれない。
それと、見逃しを1例でも許さないという超人的な一般人の要求が無理無体を要求していると言うことを言い放てないスペシャリストたちの自信のなさ・・・癌検診の医療機関としての講習をこのまえ受けに行ったときにもそう感じた。


肺癌検診トライアルはいつも見慣れた結果となってしまう。肺ガンをみつけることと生命を救うことととが一致しないこの現状に関しても肺ガン検診は自己矛盾を内在する。


この論文は、低線量CTによる悪性・良性所見鑑別に関して、存在診断では十分だが、質的診断には疑問が一部呈されている
Ability of Low-Dose Helical CT To Distinguish Between Benign and Malignant Noncalcified Lung Nodules
(Chest. 2007; 131:1028-1034)
US郡部、 2000 ~ 2004.
核兵器労務歴・現行労働者、45歳、喫煙者・非喫煙者、職業上の肺ガン病原性物質の様々な暴露歴を有する人たち

総数4401名、肺ガンのためのCTスキャンで、初回はフル用量のCTスキャン、3,6,12ヶ月にて低線量CT施行、18ヶ月後フル用量胸部低用量CTスキャン

【結果】
未診・疑診患者807名のうち95%超18ヶ月フォローアップした

未診断結節702名中3名のみのみ18ヶ月フォローにて悪性とされた

放射線科医の疑診例は感度84.2%、得意度96.6%

肺ガン事前確率2.4%のとき、PPV37.2%、NPV99.6%

総合的に、33名の原発性肺ガンを同定し、Stage I 19名、Stage II 5名、Stage III-IV 7名、SCLC-LD 3名


ヘリカルCTは未診断結節を多く検出するが、悪性例は少ない。
CTスキャンは高感度・高特異性である。
擬陽性の問題は限局的で合理的に管理可能である。
現行のCTフォローアップ推奨が支持される。




cf)
CT検診精度管理ガイドライン (第一版):www.jscts.org/jp/guideline/gl_2004.pdf/download

Single slice helical CT による肺癌CT 検診の判定基準と経過観察ガイドライン(第1 版
2005 年1 月4 日):www.jscts.org/jp/guideline/gl_0104.pdf/download

「判定基準および経過観察ガイドライン」(http://www.thoracic-CTscreening.org/jpn/index.htmlに掲載)

肺ガンCT検診は検出に十分_a0007242_1022499.jpg

by internalmedicine | 2007-04-17 09:02 | 呼吸器系  

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