循環器疾患において、インフルエンザワクチン使用が軽視されてませんか?
2007年 04月 21日
インフルエンザ流行週において心筋梗塞死亡30%増加、慢性虚血性疾患の死亡10%増加という剖検との比較の報告。それくらいが心筋梗塞・虚血性心疾患死亡へのインフルエンザの寄与率と考えるのが妥当ではないかという話。
"Influenza epidemics and acute respiratory disease activity are associated with a surge in autopsy-confirmed coronary heart disease death: results from 8 years of autopsies in 34,892 subjects"
Madjid M, et al European Heart Journal 2007
心発作で死亡した患者を診たとき医師たちはインフルエンザを死亡診断書に書かないことが多く、肺炎とインフルエンザの関係とは異なり、ことを軽視されている可能性があった。報告ではインフルエンザ予防+スタチン治療の両者の処置をうけているのは3%未満である。
8年間34892名の剖検で、11892名の急性心筋梗塞、23000名の冠動脈虚血性疾患で、平均年齢女性75,男性65歳
インフルエンザ流行期にMIと慢性虚血性心疾患死亡増加。これは50歳以上、70歳以上でも同様なパターン。
結局、オフシーズンとくらべ流行期において、心筋梗塞・慢性虚血性心疾患の死亡オッズ比は、1.30(95%CI 1.08-1.56)、1.1(95%CI 0.97-1.26)
インフルエンザ・上気道感染は心血管イベントのトリガーになり、全身に重症炎症性反応を生じさせ、粥状硬化プラークの不安定化と破裂をもたらす可能性がある。
同様に、スタチン使用もプラーク安定化につながるのであり、インフルエンザワクチンとスタチン使用の徹底が望まれるそうである。
by internalmedicine | 2007-04-21 11:38 | インフルエンザ