新しい抗狭心症薬Ranexa (ranolazine)の急性冠症候群での安全性吟味論文

Ranexa (ranolazine)とやらで、慢性の狭心症のみ昨年米国FDAでの適用されているとのこと、QT間隔延長作用があり、従来の抗狭心症薬でコントロール困難な例で使用すべきもので、アムロジピン、β遮断剤、亜硝酸剤と併用すべきものである。狭心症の発生率・運動耐用能改善効果に関しては男性より女性で効果が少ない。(参考:URL




メカニズムは完全には特徴がつかめていない。抗狭心と抗虚血作用で、心拍・血圧に影響を与えないのが特徴、最大運動量でも心拍×血圧プロダクトを増加させないという特徴がある。心臓の代謝を介した作用が考えられている。参照:http://www.centerwatch.com/patient/drugs/dru892.html



ということだそうだが、低カリウム血症、“Long QT 症候群”家族歴のある患者では使用すべきでないとのこと、そして、不整脈・有熱状態でも使用を控える必要性が説かれているようである。

そして、急性狭心症に対する安全性が確立していなかったとのことで現行では使用禁止であった。

Ranolazineの急性冠症候群(ACS)患者でのbenefitに関して不明。ACS患者のうち中等度~高度例で、有効性安全性を評価。標準治療を受けているもので、あるトライアル
Metabolic Efficiency With Ranolazine for Less Ischemia in Non–ST-Elevation Acute Coronary Syndromes (MERLIN)-TIMI 36 randomized trial)例での検討。

Effects of Ranolazine on Recurrent Cardiovascular Events in Patients With Non–ST-Elevation Acute Coronary Syndromes
JAMA. 2007;297:1775-1783. Morrowらはプラセボ比較で検討したところ、一時的な有効性アウトカム(心血管による死亡、心筋梗塞、再発性の虚血性病変)の減少は相関しなかった。また中央値348日間のフォローアップで、majorな安全性エンドポイント、総死亡率・有症状記載不整脈でも相関無し


ACSの標準治療にranolazineを負荷することは重要な心血管イベント減少に関して有効でない。ranolazineは全原因死亡や有症状不整脈に副作用をもたらさない。抗不整脈治療としては安全で有効であることは示された。

by internalmedicine | 2007-04-25 08:56 | 動脈硬化/循環器  

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