ヘリコバクターピロリ感染は喘息・アレルギー疾患と逆関係


Inverse Associations of Helicobacter pylori With Asthma and Allergy
Arch Intern Med. 2007;167:821-827.

10歳前に生じたH.pylori感染は喘息・アレルギーのリスクを減少と関連

7663名の成人からのデータ(Third National Health and Nutrition Examination Survey)を用い、H pyloriの状態と喘息既往、皮膚感作を比較
現行、現状の喘息、アレルギー性鼻炎、前年のアレルギー症状の補正オッズ比
CagA-、CagA+種の血清陽性による検討である

【結果】cagA+ヘリコバクターピロリ種は喘息の現行の存在と逆関連(OR, 0.79; 95% CI 0.63-0.99)
cagA+陽性は、小児発症(15歳以下)喘息は成人発症喘息(OR 0.97; 95% CI, 0.72-1.32). より強い逆関連 (OR, 0.63; 95% CI, 0.43-0.93)

H pyloriのコロナイゼーション、特にcagA+種はアレルギー性鼻炎の現行の存在(OR 0.77; 95% CI, 0.62-0.96) 、既往(OR, 0.77; 95% CI 0.62-0.94) と逆関連
特に小児期発症のアレルギー性鼻炎では逆関連性が強い (OR, 0.55; 95% CI 0.37-0.82)

H pyloriコロナイゼーションと前年度のアレルギー症状、花粉・カビの感作との一定した逆関連関係がみられた。



CagA陽性ヘリコバクターピロリ感染による胃粘膜障害に伴うアレルゲンの血液の暴露増加による食物アレルギー増加という仮説を唱える論文もあった( Ital J Gastroenterol Hepatol. 1999 Apr;31(3):186-91.)が、減感作の方に作用している可能性さえ考察される。
これも“hygiene hypotehsis”の一種であろうか?

by internalmedicine | 2007-04-25 11:33 | 呼吸器系

 

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