糖尿病第一選択薬物療法はどれか?

ADDOPT:”チアゾリジン系薬剤 vs metformin vs SU剤”(http://intmed.exblog.jp/4797835/)には
・「thiazolidinedioneは比較的高価であり、特徴的副作用、潜在的リスクとbenefitを考慮して選択されるべきである」とADOPT著者らは結論づけている。
・rosiglitazoneの血糖への効果が比較的軽度であることと高価であることから考え、metforminが第一選択で有り続けると考えられる。
と書かれている。

今回は、ADDOPTに関するセミナーという形の報告を紹介する
Initial Oral Therapy for Patients With Type 2 Diabetes
Clinical Diabetes 25:64-65, 2007
ADOPT (A Diabetes Outcome Progression Trial) は、高血糖状態に有る患者の血糖コントロールに対して初期治療をどうするかという面で、重要な情報を与えてくれた。Rosiglitazoneは治療の失敗(定義:血糖>180mg/dlという高血糖状態が連続する場合)が少ないが、HbA1c<7.0%患者の比率として定義した場合に血糖コントロールに関してさしたる違いはなかった。
glyburideの体重増加、rosiglitazoneの体液貯留、metforminの胃腸障害、glyburideの低血糖エピソードが問題となりそれぞれ特徴付けられる。

最近出版されたコンセンサス推奨では、metforminが高血糖初期薬物治療としてライフスタイル介入とともに推奨され、それは有効性にもとづくもので、体重増加・低血糖が少ないこと、コストが比較的低いことである。ADOPTの知見はこの推奨内容を変更する必要性はなかった。

Rosiglitazoneは単剤血糖コントロール上優れていたが、副作用・高コストで初期薬剤としては残念な結果となっているのである。


もし、metforminとライフスタイル介入で血糖コントロール到達しない場合、SU剤であるglipizideを加えることを推奨、安価、低血糖リスクが少ないため

この2剤の併用で無効なとき、選択肢を広げ、thiazolidinedioneやbasal insulineを加えるかを決める。If we add basal insulin, we usually withdraw the sulfonylurea. We have found this regimen to be effective when implemented within an organized program of diabetes care.2
もし glycemic ゴールが metformin とライフスタイル仲裁で到達されないなら、我々の習慣は(今まで) glipizide 、低血糖症のより小さいリスクと低いコストを持っている sulfonylurea を加えることでした。 もしこの2薬の併用療法が効果的でないなら、 thiazolidinedione あるいは基底のインシュリンを加えるべきかどうかについて、我々はそれから、患者と一緒に共有された決定に携わります。 もし我々が基底のインシュリンを加えるなら、我々は通常 sulfonylurea を撤回します。 我々はこの摂生が、糖尿病 care.2 の組織的なプログラムの中で実行されるとき、効果的であるのが分かりました


二重盲験、ランダム化、対照トライアルで、rosiglitazone、metformin、glyburideの初期治療としてどれが有効か2型糖尿病患者対象に行った治験

30-75歳の血糖126~180mg/dlの4360名の患者でライフスタイル改善治療を行っている患者

2000年4月から2002年6月までの北アメリカ・ヨーロッパ488センターで

以下の3つの内のひとつの治療
1)rosiglitazone 4 mg/日
2)metformin 500 mg/日
3)glyburide 2.5 mg/日



空腹時血糖が>140MG/DLなら補正する
ROSGLITAZONEは最大4mg×2回/日まで、metforminは1000mg×2回/日まで、glyburideは7.5mg×2回/日まで

メインアウトカムは“治療失敗”(他の薬剤最大量投与、6週間以上で、連続にて、空腹時血糖>180mg/dl)

治療期間中央値は
rosiglitazone、metforminでは4.0年
glyburideでは3.3年


研究到達比率・プライマリエンドポイント到着は
rosiglitazone 63%
metformin 62%
glyburide 56%


副作用イベントの発生が中止理由として一番多い
rosiglitazone 12% metformin 12%
glyburide 15%


5年間での治療失敗は
rosiglitazone 5%
metformin 21%
glyburide 34%


各薬剤間の治療失敗比較
metforminに比較してrosglitazoneは32%(95%CI 14-45%)
glyburaideに比較してrosglitazoneは63%(55-70%)

glyburideに比較してmetforminは失敗少ない(reduction of 46% [36-55%])

HbA1c<7%は
rosiglitazone 40%
metformin 36% 
glyburide 26%


最も重大な副作用イベントは
rosiglitazonenの浮腫(14.1 vs.  metformin 7.2% vs. glyburide 8.5%)

胃腸障害
metformin  38.3 vs. rosiglitazone 23.0% vs glyburide 21.9% for )


自己報告低血糖 
glyburide 38.7% with vs. rosiglitazone 9.8% vs metformin 11.6% )


体重増加
glyburide (+1.6 kg) と rosiglitazone (+4.8 kg)は体重増加あり
metforminは体重増加無し (-2.9 kg)


心不全発生時の体重増加
rosiglitazone (1.5%)
metformin (1.3%)
glyburide (0.6%)



死亡率はどの群でも変化なし




大手製薬会社御用教授たちはこの事実を講演しないと思う

by internalmedicine | 2007-04-25 15:09 | 動脈硬化/循環器  

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