ARDS / ALI


Acute lung injury and the acute respiratory distress syndrome: a clinical review
The Lancet 2007; 369:1553-1564

acute lung injuryの単純化されたコンセンサス定義

•急性発症 (7日未満)
•重症低酸素(PaO2/FIO2 <300 for acute lung injury, or 200 for acute respiratory distress syndrome)
•肺水腫に一致したレントゲン前面にてびまん性両側肺浸潤(patchyであることも、そして 非対称性、胸水の可能性もある)
•左房の高血圧がない:Absence of left atrial hypertension (pulmonary-artery wedge pressure <18 mm Hg if measured)



ALIは病因論的な検査・レントゲン上の特徴を有しているわけではないので、低酸素血症やレントゲン上の肺水腫を呈する他の疾患との診断上の混乱が生じる。
ALIという用語は同様な治療しうる患者の一群ということになるが、重大な例外が存在する。
たとえば、急性好酸球性肺炎などは、特異的治療が必要であり、注意深く考えなければ、ALIの一般的な分類の元で見落とされる可能性がある。特異的治療が必要な基礎疾患を見落とす可能性を理解してこの定義に合致する患者の評価を行わなければならない。


Differential diagnosis of acute lung injury

左室機能障害
血管内容量負荷過大
僧帽弁狭窄
血管閉塞性疾患(Veno-occlusive disease)
癌性リンパ管症
間質性・気道疾患
•過敏性肺臓炎(Hypersensitivity pneumonitis)
•急性好酸球性肺炎(Acute eosinophilic pneumonia)
•BOOP(Bronchiolitis obliterans with organising pneumonia)


BOOP病名が残ってるのが釈然としない呼吸器科医も多いのでは・・・



ALIのほとんどの患者は酸素負荷+PEEPとともに、陽圧人工呼吸が必要で、物理的サポートはカフ付きのチューブ使用で通常行われる。
非侵襲的マスク換気が行われることもあるが、大規模な文献上のランダム化トライアルは少なく、まだ気管内チューブによる換気を凌駕する状況・適応に関してまだ不明かもしれない。


支持治療
深部静脈血栓症、胃腸出血、褥瘡の評価を

ベッドの角度は少なくとも30度は確保するべきで、これは、院内肺炎リスク減少に役立つ。特に、チューブ栄養患者では重要。
経管栄養が広くadvocateされているが、適切な投与位置、開始時期、投与速度に関して形式選択に関するデータが少なく、臨床的実践方法にはばらつきがある。

侵襲的カテーテルは全例で最大のbarrier precautionをもって挿入すべきで、chlorhexidineによる皮膚消毒が挿入時行われるべき。
器械式人工呼吸期間やICU滞在を短くするため、標準化、ゴール志向鎮静は意味がある。

毎日神経学的検討を行い、精神状態の評価を行い、日々の状況で鎮静をやめる方法が望ましい
NEJM Volume 342:1471-1477 May 18, 2000 Number 20


血糖コントロールは今まで考えられていた状況よりさらに厳格に
110mg/dl以下に維持することで合併症・死亡率減少
NEJM Volume 345:1359-1367 November 8, 2001 Number 19


水分管理
動物・人間のデータで、通常より低圧の肺動脈閉塞圧で肺毛細血管透過性亢進する。血行動態不安定な患者の適切な管理がアウトカムを改善させることが多くのデータで支持されているが、この努力自体が有用でなく、有害ですらあり得ることが示唆された報告が出現してきている。大規模研究( JAMA 2003; 290: 2713-2720.)で肺動脈カテーテル挿入の意義否定的な報告があるが、カテーテルによるデータを用いたプロトコールを用いることができないため、批判にさらされているところである。



器械式人工呼吸、酸素、PEEP
PEEPの効果
この項目がもっとも重要で後日

US National Institutes of Health Network for Acute Respiratory Distress Syndrome (NIH ARDS Network) (N Engl J Med 2000; 342:1301-8.
traditional tidal volume (12 mL/kg 予測体重) vs tidal volume (6 mL/kg 予測体重)
呼吸回数増加、PaO2/FIO2の減少、PaCO2増加などの不利な結果となったが結果的には
第28病日死亡率減少(40%→31%)
人工呼吸・肺外臓器障害なしの日数増加



Prone positioning and recruitment manouevres
ステロイド
対外循環
血管拡張剤
ウィーニング・他の治療


まだ大規模研究で効果が確認されていない治療法
•Ketoconazole
•Pentoxyfilline and lisofylline
•Nutritional modification
•Antioxidants
•Neutrophil elastase inhibition
•Surfactant
•Liquid ventilation
•β-adrenergic agonists
•Nitric oxide

by internalmedicine | 2007-05-05 07:00 | 呼吸器系  

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