皮下投与法(hypodermoclysis)

皮下投与法(hypodermoclysis)は決して夢のような点滴法ではなく
補液主体であり、たとえ上限の3L/分投与しても600Kcalしか投与できない。
電解質補正には限界があり、その使用は限定的であろう

また、表層的な議論が、先走りしないことを願うばかりである。

皮下注射輸液の手技・用材・使用薬剤
日本医事新報 No.4332(2007年5月5日)
在宅医療では、高齢者を中心とした中等度までの脱水で、末梢静脈のルート確保が困難な場合や、認知症やせん妄などの合併や介護力不足などによって自宅での点滴が管理上困難な場合、中心静脈栄養が医学的に不適当と考えられる場合や患者が希望しない場合などがよい適応である。
また、末期がんのターミナル中期以降(予後1カ月未満)では、中心静脈栄養と末梢輸液では生存率やQOLに差がないことがわかっている。ターミナル中期以降で苦痛緩和のために補液が必要な場合にも、皮下注射による輸液はよい適応になる。
・・・など、具体的記載があった。著作権の問題もあり、詳細は原著を参考にしていただきたい。


ほぼ、同様な内容が、AFPに記載されている。


Hypodermoclysis:An Alternative Infusion Technique(Am Fam Physician 2001;64:1575-8.)

・利点
低コスト
IV投与より楽
IV投与より肺水腫、水分過剰となることが少ない
挿入が簡単で、IVより不快感が少ない、別部位再挿入も容易
IVラインより自宅ケアに適している、スタッフのsupervisionが少なくてもよく入院の必要性が少ない
状況のほとんどで看護師が準備可能で、投与可能(日本ではどうか知らんが・・・)
血栓性静脈炎を生じることがない
菌血症や全身感染へが知られてない
クランプを開閉することで開始中止がいつでも可能
血栓形成の危険がない



欠点
1mL/フンまでしか通常投与できず、24時間で3000mL(2か所なら)/24時間まで
電解質・栄養・薬物投与としては限界がある
挿入部浮腫が見られる
局所反応の可能性



準備
1. 患者に施行についての説明をする
2. 点滴部位選択
3. 手洗い

施行
1. 補液とチューブを集める。選択した補液とヒアルロニダーゼを中心ラインに、リドカインを必要なら用いる
Hylenex:News release
スプラーゼ:入手可能なのだろうか?


2. povidone-iodineによる刺入部位皮膚消毒を中心部位から円状に行う少なくとも1分接触時間をとり、同部位を指で再び触れてはならない
3. 針を挿入、bevelをupにして、45-60度の角度で皮下に挿入
4. 密閉ドレッシングで針・チューブを覆う
5. 滴下速度を処方通りに調整


施行後
1. 2時間で1Lを超えるような滴下速度にしてはならない
2. Date and initial dressing; date and initial intravenous tubing.
3. Document infusion fluid on medication chart.
4. 注入部位が適切かを、1時間後患者と点滴をチェック、浮腫や漏れ、外れ、注射部位から離れた部位の液貯留のサインがないこと確認し、過剰投与のサインがないかを確認
5. 必要なら、注射部位をマッサージし、吸収促進するようマッサージする





適応:
経口で水分摂取不能な患者の維持的水分負荷、軽度~中等度脱水、IV投与困難・実行不可能な場合で、主な使用法としては、老人施設・緩和医療施設下で行われている。
認知障害、嘔吐・吐き気、感染、癌による消化管閉塞、脳血管障害、特に高齢者など
自宅での使用では静脈投与は危険が伴い、医療従事者のsupervisionが必要となるため、この投与法が注目されている。
ガン終末期では食事・水分補給困難なことが多い。だが、一方では、EOLにおいて栄養補給、水分供給が生命予後や患者のwell-beingを改善させるということが判明していないため、議論の多いところである。また、救急医療や外科手術後の患者のように水分量が多いわけでもない。ただ、EOLでは、下痢・嘔吐、消化管閉塞、過度の発刊などで脱水などに見舞われることが多く、このような状況下では考慮必要となるだろう。

by internalmedicine | 2007-05-07 07:47 | 医療一般  

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