いわゆる低インスリンダイエットの否定 : 低glycemic load食は必ずしも減量に有効でない

“glycemic load”が低いものは体重コントロールに有益・・・とは 必ずしもいえない ということが判明した

“Glycemic load”なる考えは、炭水化物がさまざまな血糖パターンをしめすため、種類毎に分ける必要があるとから考えられたために生じた概念であり、たとえば、白パンやポテトは高いGI値を持ち、すなわち血糖の急激な増加をもたらすという考えなのである。高繊維穀類、豆類は徐々に血糖を増加させる、すなわち低GI値をしめすものという区別である。

ここの食物のGI値だけでなく、炭水化物の総数を考慮した計算法に発展し、たとえば甘い果実は高GI値をもつが、カロリーは少なく、炭水化物量が少ないという主張につながる。ゆえに、低GI値という分類とされた。

肯定的論文やサイト
・Glycemic index and obesity
American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 76, No. 1, 281S-285S, July 2002
・Glycemic Index:http://www.glycemicindex.com/

しかしながら、こんなめんどくさいGI値という概念そのものを否定した論文が掲載されたのである。(参考:http://news.yahoo.com/s/nm/20070419/hl_nm/glycemic_load_dc


Long-term effects of 2 energy-restricted diets differing in glycemic load on dietary adherence, body composition, and metabolism in CALERIE: a 1-y randomized controlled
American Journal of Clinical Nutrition, Vol. 85, No. 4, 1023-1030, April 2007
【背景】
体重減少持続するために適切な食事成分に関するコンセンサスはない
【方法】
2つの食事栄養主成分パターンの影響を調査
glycemic loadパターンのカロリー制限への継続性(adherence)・体重・脂肪減少、関与因子への影響

【方法】
34名の過体重成人(年齢 平均(±SD) 35 ± 6 歳、BMI  (kg/m2) 27.6 ± 1.4)をランダム化して割付
30%カロリー制限
a high glycemic load (HG) 
a low glycemic load (LG)


6ヶ月すべての食事を投与で、残り6ヶ月は自己プラン

プライマリ・セカンダリアウトカムは 、重標識水法(doubly labeled water)測定によるエネルギー摂取(注:一応原文通り訳)、体重、脂肪、飢餓、満腹、安静時代謝率を含むもの

【結果】
全例有意にベースラインよりエネルギー供給が少ない(P < 0.01)
しかし、エネルギー摂取、体重、体脂肪、安静時代謝率は両群とも変化なし

供給より多くのエネルギー多し
(eg, 3ヵ月後 21% vs 28% CR 、6ヵ月後 16% vs 17% CR <HG vs LG>).

12ヵ月後の体重変化パーセンテージは、HG群で –8.04 ± 4.1%、LG群で–7.81 ± 5.0%

空腹時・満腹時の食事構成の変化の影響、量・種類の満足度には影響がなかった。

【結論】
glycemic loadの違いで長期体重減少効果に変化をもたらす詳細なエビデンスが示された。
すなわち、高GI食での体重減少効果の方が高い



ただ、糖尿病コントロールにおいては、このGlycemic Loadの概念はまだ生き残るのかもしれない。
低インスリンダイエットと言い換えたものが日本では流布している。この概念・Termを使うときには定義を提示したプレゼンテーションを願いたいものである。・・・>」特にテレビや書籍などを書く人たちは・・・

by internalmedicine | 2007-05-06 17:50 | 動脈硬化/循環器  

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