認知機能低下を遅らせるACE阻害剤の種類

ACE阻害剤は製薬会社も力が入らないようで、ARBの宣伝ばかり熱心と感じる。



Sink, KM et al "Centrally Active ACE Inhibitors May Slow Cognition Decline: The Cardiovascular Health Study." P 36
http://www.americangeriatrics.org/
AGAのカンファレンスレポート(http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/AGS/tb/559

脳血流関門を通過しないACE阻害剤に比べて、通過するACE阻害剤は認知機能低下を50%ほど遅くする(P =0.04)と American Geriatrics Society meetingで報告があった。
65歳超の5888名の長軸調査。ベースラインで認知症なしで、高血圧治療中であった1074名の対象。平均年齢は75歳で、64%が女性。6年フォローアップデータ。

414名のがACE阻害剤で治療、274名が中枢移行性ACE阻害剤


中枢移行性ACE阻害剤としては、
captopril (カプトプリルRl), fosinopril (Monopril), lisinopril (ゼストリル), perindopril (コバシル錠), ramipril (Altace) 、trandolapril (プレラン)
である。


非移行性は
benazapril (チバセン錠), enalapril (レニベース錠), moexepril (Univasc), quinapril (コナン錠)


MMMS試験を用いた認知機能評価で、年齢、人種、性別、喫煙、収入、アルコール、LDLコレステロール、血中Cr、糖尿病、冠動脈疾患、ベースラインMMMSスコア、収縮期血圧、他の降圧剤にて補正
6年フォローアップで、認知症158名発症

3つの試験ドメインでその減水率は中枢神経作動性ACE阻害剤では50%以下であり、中枢神経非通過性ACE阻害剤を含めた降圧剤では認められなかった。
他剤に比べ-20%程度の減少とされるが、傾向のみで有意差無し (P =0.07).


ARBではどうか・・・ARBであるcandesartanは最も脳血液関門通過するもののひとつと思われる(Curr Med Res Opin. 2003;19(5):449-51.)が、比較研究ではLITE・SCOPEでARBが卒中予防的であったと記載されるが、
SCOPEでは、 Mean MMSE score の減衰に関してCandesartanは統計的に有意差は出ていない。
なお、後日、武田MRさんから、SCOPE二次解析?にて、
二次エンドポイント≧24では有意差なかったが、サブ解析にてMMSE>28で有意差無しだが、24~28ではMMSEスコア改善したということを強調されたので追加
とってつけたような説明が・・・武田らしい


現状では、ACE阻害剤ほど認知機能衰退への予防作用ははっきりしてないと言っていいのかもしれない。
東北大学のACE阻害剤の誤嚥性肺炎への予防効果の一つの説明に以上の機序も考えられるのだろうか・・・・・咳嗽のときにACE阻害剤処方をみつけたら大喜びしてすぐ中止させるのはちょっと考えたほうが良いのかもしれない。ましてや咳嗽を理由にACE阻害剤処方を全面的にやめるのも・・・(あくまで私見だが)

ACE阻害剤は種類により高齢者心筋梗塞後の生存率が変わる
http://intmed.exblog.jp/711359/
ってのも以前あったのだが・・・

by internalmedicine | 2007-05-08 10:17 | 動脈硬化/循環器  

<< 2030年それは老人が老人を診る時代 ICS+LABA同時吸入>それ... >>