2030年それは老人が老人を診る時代

2030年
75歳以上の高齢者  1,936万人(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-1997/haku9700.htm)だそうである。


医師需給新モデルの提案(長谷川委員提出資料)を見るといろいろ考える・・・


特にこれ・・・必要医師数 推計方法(需要)のうち理想論によるもの:上位推計「あるべき姿」
(1)外来患者数(精神疾患含):将来人口構成の変化を考慮、外来受療率を標準となる人口構成下の受療率(年齢調整外来受療率)に補正
・医師数=患者数 / 42
(説明)医師1人当たり1日患者数:患者1人当たりの平均診療時間数10分
医師1人当たり1日患者数42人
 例) 平均診療時間10分の場合、初診:再診=1:6 ⇒ 初診患者に30分の診療時間(インフォームドコンセントの実践が可能)
(2) 入院患者数
・65歳未満:3ヶ月未満、3-6ヶ月、6ヶ月以上の入院期間別入院受療率を外来受療率と同様に年齢調整(年齢調整入院受療率)し、年次推移のトレンドから将来の年齢階級別入院受療率を推計、将来の入院患者数を算出。
・65歳以上:3ヶ月未満及び3-6ヶ月の入院期間別調整率を算出。6ヶ月以上は療養型病床群、老人保健施設、在宅等を想定(2000年(H12)までに「社会的入院」の解消を仮定)
・精神疾患入院患者:年齢調整入院受療率の年次推移のトレンドから推計
・医師数:入院患者を一般病床と療養型病床群に区分し、勤務医師数を医療法の標準定員を1割程度上回る数に設定
(3)要介護老人に対応する医師数
・要介護老人100人当たり医師数1人と仮定
・在宅要介護老人100人あたり医師数1人((1)外来診療の一部であるが、在宅にかかる医師数を計上)
(4)救急及び僻地医療に対応する医師数
・救急:2次医療圏毎に専従医師15人配置(2025(H37)に全国5,000人計上)
・僻地:現在無医地区997ヶ所に1人配置(1,000人計上)

(5)医学部付属病院医師数
・34,000人計上(1996(H8)医師数の1割)
(附属病院の果たす役割の特性から、医師1人当たり診療患者数は一般の医療機関に比して少ないと考えられ、今後の卒然教育の充実等も考慮し別途計上とする)

(6)臨床研修に対応する医師数
・臨床研修医15,000人(研修に専念)
・臨床研修指導医5,000人(2010(H22)までに研修医3人につき1名配置)
(7)基礎医学に対応する医師数
・年間100人増加(基礎医学教員、研究職、行政職等)
・治験・製薬分野(2025(H37)に1,000人)
・国際協力(1,000人)
・検診医(2025(H37)に2,000人
・以上の需要合計15,000人(2025(H37))



僻地診療などは1000名でよいのだから、自治医大を本来の形に戻すだけで解消するのではないだろうか?いつもこのことが無視されているのは私が考え違いをしているのだろうか?
むしろ、問題は救急で、二次医療兼毎に15名専従医師、5000名をという方・・・

外来患者数は一人あたり42名/日を想定初診30分、診療時間平均10分だそうである。
ちなみに42×(初診料 2700円×1/7+850円×6/7)=46800円/日で
診療所の建物を建てたり・借りたり、看護・事務職を雇い、医療廃棄物処分や安全対策やらを行えってことなのである。






厚労省は現行の医者は50年間働いていることになる
2030年それは老人が老人を診る時代_a0007242_1212209.jpg

女医は一時期就業率が低くなるが、余命が長いせいか、むしろ男より就業年数が長い。


から読み取ると

2030年には、医師数(65歳以上)  11万名 (64歳以下) 26万名である。


上記医師推定数の内、若い医者でなければ駄目な(4)救急+(5)~(6)の総計は7万4千
そのため、それ以外の64歳未満の医者は、18万人程度

(1)の外来業務+(3)介護施設だけでなく、(2)でも65歳を超えた老人医者が診療をしなければこの国の医療は2030年には存在しないのである

老人が老人を診ている・・・しかも外来だけでなく、急性期入院患者まで・・・

そんな試案を堂々と発表する厚労省の有識者といわれる人たち・・この人たちは机上だけでリアリティーなど存在しないのだろう。



賃貸での開業が増えてサラリーマン的な開業医が増加しており、
早期退職を声だかに叫んでいる私のようなものも多いし、
果たして今のように高齢の医者が医者を続けているだろうか?

だいたい、社会的ニーズも若い活気ある医者を望んでいるだろう

・・・・どうせ、あと10年医者を続ける気もないが、今度は患者として心配になる。

by internalmedicine | 2007-05-08 12:12 | 医療一般  

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