抗うつ薬の警告対象年齢拡大(米国) 


“SSRIが自殺の危険性をたかめるという誤った認識”などと主張する日本の偉い専門家意見はあまりに軽薄だし、こういった先生たちが日本の精神医学をリードしていると考えると空恐ろしいものを感じる。

思春期のSSRIによる自殺リスク増加という命題に対してFDAは対象年齢を拡大した。その中身は決して単純なものではない。生命に関わることであり、その検討は慎重でなければならないし、エビデンスに基づくもので無ければならないと思う。偉い医者が言うから正しいなんて時代ではないのだ・・・とつくづく思うのだが・・・立証より、まとまった単純な表現を好む医者の一群にこういった傾向が多いように思う。

Expanding the Black Box — Depression, Antidepressants, and the Risk of Suicide
www.nejm.org May 7, 2007 (10.1056/NEJMp078015)
2004年10月以降、子供・思春期において自殺念慮・自殺的感情、自殺行為増加と関係している枠警告(black box warning )が示されている。
24歳以降では自殺リスク増加のエビデンスがなく、65歳以上では減少させるという新しい警告が示されいる。“うつや他の重篤な精神疾患はそれ自体g自殺リスクを増加させる”と付記されている。
2006年FDAの精神薬剤諮問専門委員会では成人における自殺リスクと抗うつ薬の関係が議論され、結局6対2で18-24歳の成人もこの枠警告に含めることとなった。ascertainment bias(診断バイアス)の可能性がある。たとえば性機能異常などで受診していても、抗うつ治療を受けている場合はプラセボよりその副作用報告を多く訴えるという報告があり、プラセボトライアルでも抗うつ薬に割り当てられた群はプラセボ群より多く薬剤を飲んでしまうという服薬行動への影響もある。若年者ほど自己報告が多くなるということも考えられる。


(Data are from the Summary Comments of the December 13, 2006, meeting of the FDA's Psychopharmacologic Drugs Advisory Committee. CI denotes confidence interval.)

短期的データに限られており、長期的な検討によるものではない。うつスケールを用いた前向き研究はなく、adverse-event reportの分析のみに注目された報告のみである。


このデータは43の非精神疾患適応の治療研究から20%を含み、34トライアルが非行動的適応(線維性筋痛症、糖尿病性ニューロパチー、ストレス性排尿障害など)であり、初期の解析に含まれておらず、リスクに関してはこの適応では自殺関連リスクはすくないだろうということ

by internalmedicine | 2007-05-10 08:25 | 医療一般  

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