ヘリコバクターピロリと胃悪性腫瘍
2007年 05月 11日
Helicobacter pylori Infection and the Risk of Gastric Malignancy
(Am J Gastroenterol 2007;102:725-730)
H.pylori感染の各種胃悪性疾患発症に関する前向きコホート研究
1225の非潰瘍(NUD)、胃潰瘍、十二指腸潰瘍をもつdyspepsia台湾人
618名がH.pylori感染
平均フォローアップ6.3年で、
胃癌:H.pylori陽性 7/618 vs 陰性:0 (1.1%vs 0.0%, P= 0.015)
胃リンパ腫:H.pylori陽性1/618 vs 陰性: 0
除菌の有無間で胃癌の発生頻度は同等(1.4%vs 1.2%)
多変量解析では腸上皮化生は独立したH.pylori感染患者における胃癌の危険因子4.5 (95% CI 1.1-19.1).
除菌が果たして癌予防につながるか・・・なんか不安になるデータ
ものはついでなので・・・
EBMに基づく胃潰瘍診療ガイドライン第2版(馬鹿官僚に従順なEBMに基づく・・・というお題目、なんか哀れになってくる)をみて・・・4剤併用療法とラニチジンビスマス3剤療法が最適であるというコメントが書かれていた。我が国のデータの論文はメトロニダゾールを含めたPPI3剤療法が有効と報告されているとのこと
再除菌に関するRCT
1)3剤療法
①RBCを用いた方法
RBC/MT(86%)>RBC/AC(61%)
RBC/A/チニダゾール(85%)>PPI/AL(63%)
RBC/TM(83%)>OBTM(57%)
②PPIを用いた方法
PPI/AM(92%)=感受性検査に基づく3剤ないし高用量2剤療法(82%)
OAM(63%)=感受性に基づく除菌法(74%)>OAC(35%)
③レボフロキサシンを用いた方法
PPR/AL(94%)、PPI/チニダゾール/L(90%)>PPI/BMT(68%)
PPI/AL(70%)>OTMB(37%)
④その他の方法
PPI/A/リファブチン(87%)>PPI/BMT(67%)
BTF(86%)=OBTM(74%)
2)4剤併用療法
OBAT(78%)>OBAM(58%)
OBMT(84%)>OBMC(59%)
PPI/BTM(83%)>PPI/AL(63%)
OBTM(77%)=Ran/BTM((76%)
PPI/RBC/A/チニダゾール(86%)=PPI/RBC/A/チニダゾール+Lactobacilluサプリメント(92%)
OBA/ニフラテル(89%)=OBAF(87%)
3)高用量2剤療法
高用量OA(76%)=OBTM(81%)
【略号】
PPI:プロトンぽん部阻害薬、O:オメプラゾール、RBC:ラニチジンビスマス
Ran:塩酸ラニチジン、A:アモキシシリン、L:レボフロキサシン、T:テトラサイクリン
M:メトロニタゾール、B:ビスマス、C:クラリスロマイシン、F:フラゾリドン
by internalmedicine | 2007-05-11 15:50 | 消化器