肺塞栓心電図にsWells score加味しても感度・特異度改善せず

肺塞栓(PE)というのは院内外ともに非常に問題となることが多くなってきた。
院内においては、術後や安静臥床後の合併症としての認識が必要で、いろんなトラブルを生じる元となっている。



心電図ポイント:
1. S1Q3T3は急性肺性心のサイン
2. 急性肺性心なら原因を問わず(たとえばPE,PTX,気管支れん縮など)、S1Q3T3所見
3. ECGはPEでは異常となることが多いが、感度も少なく、特異的でもない
4. 前胸部のT波陰転化はmassive あるいは sub-massive PEの診断を考慮すべき
5. 心電図はPEにとってあまり良好な診断手段とはいえない。PE疑い例にとって他の生命危機的診断たとえばMIを除外することにとっては重要な手段である。(参考:http://medicine.ucsf.edu/housestaff/Chiefs_cover_sheets/ecg_pe.pdf


Diagnostic utility of ECG for diagnosing pulmonary embolism(Best BETs


・・・などと、心電図の診断上の限界があり、総合的なスコア化に頼ることとなる。

で、Wells (Canadian Pulmonary Embolism Score) criteria


Electrocardiography and Wells scoring in predicting the anatomic severity of pulmonary embolism
Respiratory Medicine Volume 101, Issue 6, June 2007, Pages 1171-1176
肺塞栓は合併症・死亡率に関係有る大きな健康問題
submassive、massiveなケースを迅速に認識することが求められている。

ところが、あんまり役に立たないという話
 ↓
2つのスコアリングシステムと単純化Wells臨床スコア


PEと判明した56名の患者で50例重症、中等症50例で、換気血流スキャンで後顧的検討したもの
2人の独立した観察者の解析

PEの解剖的重症度をシンチグラフィーで計算し、軽症グループ1:<50%環流、重症グループ2:≧50%とグループ分け

ECGスコア、sWells scoreとその組み合わせでは5.23±3.42 and 5.85±3.82; 6.60±1.88 and 7.03±2.40; and 10.73±3.60 and 11.60±4.32 in groups 1 and 2, respectively (p>0.05).

ECGスコア 6.5は重症疾患を感度41.7%、特異度82%で予測

sWellと組み合わせスコアは感度・特異度を改善せず

結果として、ECGスコア化はPEの解剖的重症度予測に役立ち、sWellスコアをくわえることには付加的なbenefitを有しないこととなった。



Genovaスコアはどうか?



Appropriateness of Diagnostic Management and Outcomes of Suspected Pulmonary Embolis
Ann Int Med. 7 February 2006 Volume 144 Issue 3 Pages 157-164

ガイドライン
NGCガイドライン
BTS
ESC

by internalmedicine | 2007-05-12 10:22 | 呼吸器系  

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