老人プライマリケアでのうつケアは生存率を改善する、癌死減少が主因

いろんな意味で興味深い論文だと思う。

大うつに対して
心理療法で癌死亡率改善
これは思わぬ結果だったのではないだろうか?
この論文の考察としては、ECA ・CTRにて大うつなしにくらべ大うつ女性では後期乳ガン発見リスク増加(Int J Psychiatry Med. 1999;29(1):29-45.)という報告があり、大うつが早期発見の遅れにつながると考えているようである。また別の原因調査はさらなる検討が必要

心理療法で自殺予防を示すほどの頻度ではなかった
(心理治療介入自殺予防NNTは相当高い可能性:すなわちコスト・ベネフィットが悪い可能性がある)


The Effect of a Primary Care Practice–Based
Ann Int Med 15 May 2007 Volume 146 Issue 10 Pages 689-698

【背景】うつと死亡リスク介入に関する影響を調べた研究は少ない

【目的】うつ改善介入にて死亡リスクが減少するか?

【デザイン】プラセボ、ランダム化、対照治験

【セッティング】ニューヨーク、フィラデルフィア、ピッツバーグ、ペンシルバニアの20のプライマリケア医

【患者】うつスクリーニングにて同定した1226名のランダムにサンプル化した2段階、年齢層別化(60-74歳、75歳以上)
【介入】プライマリケア医にいるDepression care managerによるアルゴリズムベースのケア
【測定】臨床的インタービューとバイタルステートベースのうつ状態、5年時点のNational Death Indexを用いた評価

【結果】ベースラインで、396名のmajor depression、203名のminor depression
52.8ヶ月フォローアップ中央値にて、223名の患者が死亡
通常にくらべうつ介入治療群ではハザード比 0.67 [95% CI, 0.44 ~ 1.00]

死亡リスクはmajor depression患者では 補正ハザード比0.55 [CI, 0.36 ~ 0.84])

臨床的に有意なminor depressionでは補正ハザード比 0.97 [CI, 0.49 ~ 1.92])



benefitに関しては、癌による死亡減少効果の寄与が大きい


問題の自殺に関して・・・・発生数が少なすぎて検討の対象外と思われる


【限界】癌死亡への影響のメカニズム不明、うつ状態、癌死亡原因、vital statusは分類せず

【結論】major depressionを有する老人プライマリケア患者はうつ介入治療により5年生存率が改善し、それはおもに癌の死亡率を減少させるからである。
そのメカニズムは不明で、さらなる検討が必要



NK活性がどうのこうのという・・・無責任?思いつきだけの文章はこの論文中にない!

by internalmedicine | 2007-05-15 09:35 | 医療一般  

<< 脂質代謝異常update Narrative Revie... >>