脂質代謝異常update

Update on Dyslipidemia
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 92, No. 5 1581-1589

最近、脂質異常の遺伝子ベースの理解が進み、CHD予防の脂質降下薬剤の安全性と有効性の研究が進んでいる。
単一遺伝子の高脂血症同定がなされている、たとえば low-density lipoprotein (LDL) receptor (LDLR)-associated proteinproprotein convertase subtilisin-like kexin type ATP-binding cassette transporters ABCG5 、ABCG8といったもの


LDLR関連蛋白はLDLRsのclusteringを促進し、LDL uptakeのためのclathrin-coated pitsとなる。



(拡大:http://www.biochemj.org/bj/377/0001/bj3770001f02.htm)





Clathrin-dependent endocytosis
Biochem. J. (2004) 377 (1–16)



proprotein convertase subtilisin-like kexin type 9 (PCSK9) は肝臓のLDR degradationに関与し、コレステロール循環のクリアランス上majorなルートである( J Biol Chem. 2007 Apr 23; : 17452316)。


肝外・小腸細胞のABCG5 と ABCG8 はステロールの肝・腸管細胞から、胆道・腸管腔へのポンプとなる



コレステロールの腸肝循環でのNPC1-L1(赤丸)の機能
消化管からのの吸収(小腸上皮apical側)、胆管からの吸収(肝細胞basolateral側)を行う。ABCG5/G8ヘテロダイマー(青丸)は逆向きのフローに必要。黄色は食物中のコレステロール・胆汁酸ミセル・カイロミクロン。

ABC(ATP-binding cassette)トランスポーターはよく保存されたヌクレオチド結合領域を1機能分子あたり2つ持つ膜タンパク質スーパーファミリーで、ヒトには49種存在する。近年、多くのABCトランスポーターが脂質輸送を介して生体の脂質恒常性維持に関与することが分かりつつあり、高脂血症との関係からも注目されている。例えば、肝臓ではABCB4(MDR3)とABCB11(BSEP, SPGP)がそれぞれホスファチジルコリンと胆汁酸を胆管へ排出し、小腸上皮ではABCG5とABCG8が植物性ステロールとコレステロールを腸管へ排出する。脂質恒常性維持に重要なABCタンパク質の機能異常は、様々な遺伝病、疾病を引き起こすことが分かっている。肺サーファクタントの分泌に重要なABCA3の変異は新生児肺サーファクタント欠損症、網膜でN-レチニルデンホスファチジルエタノールアミンを輸送するABCA4の変異は黄斑部変性症、ペルオキシソームに極長鎖脂肪酸を輸送するABCD1(ALDP)の変異は副腎白質ジストロフィーを引き起こす。ABCB4, ABCB11の変異はそれぞれ肝内胆汁うっ滞症Ⅲ型、Ⅱ型、ABCG5/ABCG8の変異はシトステロール血症の原因となる。
マクロファージを含む末梢細胞では、ABCA1とABCG1が肝臓へのコレステロール逆転送に働く。ABCA1の遺伝子変異は高密度リポタンパク質(HDL)が減少するタンジール病を引き起こし、ABCG1ノックアウトマウスでは肝細胞とマクロファージに多量の脂質が蓄積する

「ABCトランスポーターの重要性」(pdf:シンポジウム)

ABCタンパク質の生理的重要性と分子メカニズムの解明(http://www.biochemistry.kais.kyoto-u.ac.jp/MDR.html




apolipoprotein AVをencodeしている奇異な遺伝子、lipoprotein lipaseの活性物質で、家族性高脂血症と関連する。

家族性混合性高脂血症とupstream stimulatory factor 1との関係は議論のあるところである。

ATPIIIでは高CHDリスクにおいてLDLと非HDLコレステロールの強化治療が強調されている。しかし、高用量、低用量スタチン治療比較の4つのトライアルでは、わずか2つのみ同等な心血管エンドポイント同等であった。強化療法は筋症や肝障害のリスク増加故に、個々の患者でリスク・ベネフィットを考慮することが重要である。飽和脂肪酸・トランス型脂肪、コレステロールの制限は、水溶性線維の接種増加とともに、LDLこれてロール減少をもたらす。フィブラートは重症高TG血症の急性膵炎のリスクを減少し、CHD予防に有効である。しかし、安全性有効性は確率が必要である。

by internalmedicine | 2007-05-15 11:55 | 動脈硬化/循環器  

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