身体運動量とフィットネスの用量依存関係

fitnessは辞書で調べると、「健康、フィットネス、適当、適応度、適性、(運動による)健康維持」など書かれている。

心肺機能をたかめる健康維持運動(fitness)ということになるのだろうか、このfitnessのレベルが低い場合は、心血管疾患、全原因死亡率を高め、fitnessのレベルが高くなると死亡率減少を示す。低fitnessが、その他多くのリスク要因にすぎないのではなく、独立した大きな予後因子なのであるということが示されている。安全性・有効性・許容処方などが継続して重要な問題なのである。

”毎日30分未満のfitnessで良いのか”とか、“推奨より多くのfitnessなら、より良好な改善が得られるのか”というという疑問が生じている。

fitnessと死亡率に逆相関があるのなら、身体活動性とfitnessの用量依存関係は重要である。特に、CVDや2型糖尿病、他の慢性疾患のリスクの高い人々にとって大事というわけで・・・


Effects of Different Doses of Physical Activity on Cardiorespiratory
Fitness Among Sedentary, Overweight or Obese Postmenopausal Women With Elevated Blood Pressure: A Randomized Controlled Trial
Timothy S. Church; Conrad P. Earnest; James S. Skinner; Steven N. Blair
JAMA 2007;297 2081-2091



【序】 低レベルの心肺フィットネスは死亡率高リスクと相関し、フィットネスを改善すれば死亡リスク減少に関連する。しかし、用量関係は不明であった。

【目的】 NIH Consensus Development Panel 推奨の身体活動性で定量化した50%、100%、150%のフィットネス用量依存的な検討を女性でみたもの

【デザイン・セッティング・参加者】 464の余り運動しない閉経後女性のoverweightあるいは肥満(BMI 25-43)女性で、収縮期血圧120-159.9mmHgを対象
テキサス州Dallasで、2001年4月から2005年6月まで

【介入】 4群の1つにランダムに割り当て
102名:非運動対照群
155名: 4-kcal/kg/週(エネルギー消費)
104名: 8-kcal/kg/週(エネルギー消費)
103名:12-kcal/kg/週(エネルギー消費)
6ヶ月介入

目標トレーニング強度は女性のピークFormula O2の50%相当の心拍
 
【メインアウトカム】プライマリアウトカムは cycle ergometerにて好気的運動能力を評価し、ピークの絶対的酸素消費量 (FormulaO2abs, L/min)を定量化する

【結果】 平均(SD)ベースラインFormulaO2abs値は1.30(0.25)

週平均(SD)運動時間は
4kcal/kg群:72.2 (12.3) 分/週
8kcal/kg群:135.8(19.5)分/週
12cal/kg群:191.7(33.7)分/週


年齢、人種/民族、体重、ピーク心拍補正後、運動群は対照群に比較してFormulaO2abs増加
4kcal/kg群: 4.2%
8kcal/kg群:6.0%
12cal/kg群:8.2%
(P<.001 for each vs control; P for trend <.001).


年齢、BMI、体重、ベールサインのFormulaO2abs、人種・民族、ベースラインのホルモン治療に関して、治療xサブグループ関係はなかった。

ベースラインから6ヶ月後まで、どの運動グループも対照群と比較して、収縮期血圧値の有意な変化はなかった。

【結果】この研究、運動不足、過体重・肥満閉経後女性において、運動トレーニングのレベルに従い用量依存的な運動能力の増加がもたらされた。





【Percent Change in Fitness Data for Each Study Group】


【Change in Peak Absolute Oxygen Uptake for Each Exercise Group】



最大で週190分程度しか検討してないのが・・・ちょとものたりない



参照:
・Physical Activity and Cardiovascular Health
National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement December 18-20, 1995

動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2007年度版)
運動強度:最大酸素摂取量50%
うんどうきょうど
1)運動時の脈拍から推定する方法
①カルボーネン式(運動時の心拍数)
 心拍数(脈拍/分)=((200-年齢)ー安静時心拍数)×運動強度+安静時心拍数
②かに法(運動強度50%のとき)
 心拍数(脈拍/分)=138-(年齢/2)
2)自覚的な感じから推測する方法:
 ボルグ・スケール(主観的運動強度)で、11~13(楽である~ややきつい)
最大酸素摂取量:持続的運動能力の指標

量・頻度:1日30分以上(できれば毎日)、週180分以上
種類:速歩、社交ダンス、水泳、サイクリングなど



結果的にみれば、以上のガイドラインは妥当ということになるだろう。

週3回30分という指導は時代遅れとおもうのだが、まだ、そういうことが書かれていたり、指導している人がいるので注意されたし!・・・運動指導には禁忌や注意すべき対象者もいるのでその点も留意すべきである。

朝晩ウォーキングをしているものにとって、この程度の運動でたりるのだろうか?・・・という個人的感想もあるが・・・

by internalmedicine | 2007-05-16 07:18 | 動脈硬化/循環器  

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