警告症状によるがん早期診断:癌がどれくらい紛れ込んでいるか?
2007年 05月 18日
プライマリケアやGPのところにくる癌をおもわせる症状にどれほどの頻度で悪性疾患が紛れ込んでいるかわかれば、説明もしやすい?
プライマリケア医師としては、日本でも、重篤な疾患を警告するalarm symptom(s)有る場合のPrestest Probability 検査前確率を列記してほしいものだ。できればその対象も広げてもらって・・・
Alarm symptoms in early diagnosis of cancer in primary care: cohort study using General Practice Research Database
BMJ 2007;334:1040 (19 May)
【方法】762325名の15歳以上、128GP(1994-2000)
血尿、喀血、嚥下困難、下血は以前癌診断なされてない
【主なアウトカム測定】
血尿、喀血、嚥下困難、下血のそれぞれの悪性腫瘍に対する陽性適中率Positive Predictive Value(PPV)
【結果】新規エピソード血尿11108
新規診断尿路系癌:
男性:472(3年間のPPV 7.4%(95%CI 6.8-8.1%))
女性:162(3年間のPPV 3.4%(95%CI 2.9-4.0%))
新規エピソード喀血4812
気道系癌
男性:220(PPV 7.5% (95%CI 6.6%-8.5%) )
女性:81(PPV 4.3% (95%CI 3.4%-5.3%) )
新規診断嚥下困難
食道癌
男性:150(PPV 5.7%% (95%CI 4.9%-6.7%) )
女性:81(PPV 2.4% (95%CI 1.9 %-3.0%) )
下血15 289エピソード
直腸結腸癌
男性:184(PPV 2.4%(95%CI 2.1%-2.8%))
女性:154(PPV 2.0%(95%CI 1.7%-2.3%))
PPVは年齢とともに増加し、たとえば血痰では65-74歳で9.0%(6.8% to 11.7%)から75-84歳では17.1%(13.5%-21.1%)と増加する。
たとえば、尿細胞診の特異度99%、感度20-30%(http://www.medscape.com/viewarticle/481628_3)で
陽性尤度比LR+=感度/(1-特異度)は250
陰性尤度比LR-=(1-感度)/特異度は0.253
血尿で細胞診陰性の時、男性:7.4%→1.9%、女性:3.4→0.86%に確率が減少した・・・だからなんなんだ!という・・・いつものEBM的説明できあがり
こんな説明した・・・患者のほとんどは納得できないという顔をする
by internalmedicine | 2007-05-18 11:21 | 医療一般