アルドステロン正常値内高値の血圧正常者はその後血圧は高くなる
2004年 07月 01日
さらに、対象をひろげて正常血圧者でスクリーニング!
アルドステロン高値はその後の血圧上昇と関与しているようです。
ARB業者がまたうるさいか・・・?
──────────────────────────────────
Serum Aldosterone and the Incidence of Hypertension in Nonhypertensive Persons
NEJM Volume 351:33-41 July 1, 2004 Number 1
【背景】原発性アルドステロンはよく認識された二次性高血圧の原因である。生理学的範囲内のアルドステロン値が高血圧のリスクに如何に影響をあたえるか不明。
【方法】 1688名の正常血圧Framingham Offspring Study参加者(平均55歳)の4年後の血圧増加・高血圧頻度ともともとのベースラインのアルドステロン濃度の相関を調査。
少なくとも一つの血圧カテゴリーの増加が有れば血圧増加と判断(the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure定義)で、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上、もしくは降圧剤治療されているものを定義
【結果】フォローアップにて、血圧カテゴリーが33.6%に増加、高血圧にまで進展は14.8%。多変量解析モデルでは、血中アルドステロン濃度4分位増加あたり血圧増加リスクは16%増加、高血圧リスクは17%増加。
アルドステロン最高4分位は最低4分位に比較して1.60倍の血圧増加リスク(95%CI 1.19-2.14)で、1.61倍(95%CI 1.05 - 2.46)の高血圧リスク増加
血中アルドステロン値と血圧アウトカムの相関は尿中Na排泄や左室肥厚や内腔補正後も有意差無し
【結論】地域住民レベルで、生理的範囲内でのアルドステロン増加は高血圧への進展する患者を予測
──────────────────────────────────
高血圧症に対するアルドステロン症を念頭に置いたスクリーニングのまとめ
──────────────────────────────────
◆ 初診高血圧症例に可能なかぎり無治療時にホルモン検索を行う。血漿レニン活性(PRA)の測定が最も有用で、同時に血中アルドステロン濃度(PAC)の測定を行うのが最も適切なスクリーニングになる。高血圧症例では、午前中に30分間ベッド上安静後に採血する。PRAが1.0ng/mL/hr 未満、PACが12.0ng/dL(331.9pmol/L)以上を指標にしてスクリーニングするが、PAC/PRA比が20以上(40以上との報告もある)であれば本疾患を疑って更に精査する。フロセミド2時間立位負荷試験を行い2時間後のPRAが1.0ng/mL/hr 未満あるいはカプトプリル50mg負荷試験で負荷90分後の PAC/PRA >20であれば、PAと診断する。http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/027_i.htm
◆
a.PAC/PRA比:体位やNa摂取量に関係なく採血し、PAC/PRA非(比?)を測定する。
(正常値<200、原発性アルドステロン症>400)
b.食塩負荷試験:3日間食塩を経口負荷し1日尿中Na摂取量を250mEqとした状態で尿中アルドステロンの抑制状態を見る。(正常値<10μg/日)
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp/qrs/imd/imd00194.html
◆診断のポイント:原発性アルドステロン症は決してまれな疾患ではない.高血圧症の患者を診たら一度は,血漿レニンとアルドステロン値を測定し,低レニン血症(PRA<1.0 ng場合は,専門医にコンサルトすることが重要である.
http://www.nms.ac.jp/jnms/2001/06805447j.pdf
◆【高血圧】以外(意外?)と多い原発性アルドステロン症
http://www.m-junkanki.com/topics/topics2h.html#topics21
PAC:120pg/ml以上かつPRA:1.0ng/ml以下スクリーニング
→フロセミド立位試験→ACTH負荷副腎静脈採血
◆原発性アルドステロン症の臨床
http://www2.hama-med.ac.jp/w1b/uro/abstract/HCONF/00/NAKA.HTM
◆アルドステロン症
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/inter3.dir/arudo02.pdf
PAC > 20 ng/dL(553.2pmol/L) かつ PAC/PRA > 50(pmol/L換算 1382)(> 30(pmol/L換算 829.8) でも疑う)腎不全は除外(正常は 4 - 5)
◆Prevalence of Primary Aldosteronism among Asian Hypertensive Patients in Singapore
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol. 85, No. 8 2854-2859
http://jcem.endojournals.org/cgi/content/abstract/85/8/2854
Screening was considered positive if the PAC:PRA ratio was more than 20 and the PAC was more than 15 ng/dL (>416 pmol/L).
◆Mayo Clinicでは、まず、PRAだけ測定せよと述べている
↓
Validity of the Aldosterone-Renin Ratio Used to Screen for Primary Aldosteronis
Mayo Clin Proc. 2001;76:877-882
事前に本態性高血圧の診断を受けた患者で、PAC/PRA比の計算をすることは、PRAに対応してPACが増加しているかを決定するためにレニン非依存性のアルドステロン測定は役立たない。
PAC/PRA比は主に低PRAの指標なので、原発性アルドステロン症の検診の価値としては低レニン患者に付加的テストをすべきである。
◆正常ボランティアのPAC/PRA比
Plasma-aldosterone plasma-renin concentration ratio in healthy volunteers
http://www.thieme.de/eced/abstracts2003/daten/079.html
正常者ではPAC/PRA比は0.08-9.27(メディアン 2.07 95%CI 0.19-6.55)
PAC/PRA-IRMA比 0.03-1.77(メディアン 0.33 95%CI 0.05-1.54)
PAC/PRC-ILMA比 0.02-2.28(メディアン 0.30 95%CI 0.03-1.55)
◆Harrison's online
低カリウム血症をともなう拡張期性高血圧で疑う
利尿剤をやめてKCL負荷10日投与し、低カリウム血症とアルドステロン濃度チェックを行い、甘草やcarbenoxoloneなどの投与をチェック
PRAを測定し・・・と記載されてます。
「レニン単独測定では特異性に欠け、PAC/PRA比がスクリーニングに有効。高い比率(>30:アルドステロンをng/dL、PRAをng/mL/hourと表示)の時アルドステロンの自動的分泌亢進状態を示唆しているものと考えられる。」
アルドステロンが単独で>500pmol/L(>15ng/dL? 換算が18.1ではないかと・・・:1ng/dL=27.6pmol/Lのはず)の時は塩分制限なくても判断可能。
────────────────────────────────────
↑
けっこうばらばらなのであった。
ところでこのガイドラインは不合格!
↓
http://www.jscp.org/booklet/guideline/29.pdf
なぜなら、JNC-7での二次性高血圧として考慮すべき疾患である筆頭、睡眠時無呼吸症候群を無視!
睡眠時無呼吸
薬剤・特定のもの由来
慢性腎不全
原発性アルドステロン症
腎血管疾患
慢性ステロイド療法・Cushing症候群
褐色細胞腫
大動脈縮窄
甲状腺・副甲状腺疾患
by internalmedicine | 2004-07-01 12:22 | 動脈硬化/循環器