破傷風菌

めずらしいので、写真をとった・・・・狸による咬傷

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知り合いの獣医さんによると、たぬきによる傷は深いらしい。たぬきは、イメージと異なり、かなりどう猛で、この被害者の方は農作被害対策罠につかまった狸にやられたとのこと


こういう傷はデブリ&破傷風対策・・・ということになるのだろう


破傷風というのも現在届け出も50例程度だそうだが、医師にとっての地雷疾患のひとつである。
破傷風ワクチンを一度も受けたことがない、あるいはワクチン歴が不明な者の不潔な外傷に対しては、破傷風発症の予防策として、適切な創傷処置に加えてTIGの投与を行う。またワクチン接種者であっても、創傷の程度によっては破傷風ワクチンの追加接種を行う。(http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k99-g40/k99_32.html)


各病院対策事例:

下関市立中央病院 救急センター運営委員会・感染管理委員会(http://www.city.shimonoseki.yamaguchi.jp/byoin/eKansen/manualTetanus.pdf

慈泉会相澤病院 外傷治療センター 皮膚外傷の初期治療マニュアル(http://www.wound-treatment.jp/next/skin-injury-treatment.pdf


“野外での深い咬傷ではテタノブリンも投与”というのが医者をなやませる!
日本における破傷風による死亡数がきわめてすくないということと、特定生物由来製品に患者さんへの説明義務発生ということ・・・・ただし、発生した場合の訴訟リスクを考えるとやっかいな病気ということになる。

以下の様な、出典をあきらかにしている文章もある。
"Concomitant administration of TIG and tetanus diphtheria toxoids (Td) is recommended in the care of some wounds because tetanus toxoid alone does not provoke a sufficient, prompt immune response to remove the toxins"(Generalized Tetanus in a Patient from Pharmacotherapy
で、引用先は
・Ernst ME, Klepser ME, Fouts M, Marangos MN. Tetanus: pathophysiology and management. Ann Pharmacother 1997;31:1507-13
・Centers for Disease Control. Diphtheria, tetanus, and pertussis: recommendations for vaccine use and other preventive measures: recommendations of the Immunization Practices Advisory Committee (ACIP). MMWR 1991; 40(RR-10):1-28.

同時に、CNSへの通過性が限られていることと、TIGの最小有効量が不明であることも問題とされるようだ。



診断:Laboratory Diagnostics of Botulism(Clinical Microbiology Reviews April 2006, p. 298-314, Vol. 19, No. 2

バイオテロとしても問題(ref. http://www.yoshida-pharm.com/information/dispatch/dispatch16.html

ボツリヌス側からみたまとめ?をみつけたので以下に拙約&要約



Nottingham大学のPress Releaseから・・・

世界でもっとも致死的な毒素を作る微生物の遺伝子ゲノム判明

この毒素は、2Kg未満、砂糖の袋2つ分で、この惑星のすべてを視察できる毒素である


それは、Botox(R)として医療用にも使われている。
(ref. Review Article Botulinum Toxin in Primary Care Medicine:JAOA • Vol 106 • No 10 • October 2006 • 609-614)

5つのClostriaにない遺伝子が、C. botulinum遺伝子に43%存在し、他の5つと共通な部分は16%に過ぎないというのは驚くべきである。芽胞形成というstelth attackが有効に働く。
3700遺伝子の内110以上がこの芽胞・発芽調整に使われている。優雅で柔らかなアプローチをする最近たちと異なり、C.botulinumは、攻撃の機会をまちうけ、機会があれば最大の武器をもってホストを攻撃する。

土壌中の蛋白や動物由来の材料を消化する遺伝子が豊富であり、土壌中の昆虫や他の小生物などを攻撃を可能とする遺伝子産物“chitinase”を作る。

(引用:http://www.optic.or.jp/zaidan/s32/optic_daigakuhatsu_2005/theme/no4.html)


Boticinという細菌を殺す・・・抗生物質を自らが作成している。
(ref. Applied and Environmental Microbiology, March 2003, p. 1589-1597, Vol. 69, No. 3)



by internalmedicine | 2007-05-26 10:09 | 感染症  

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