アンチエイジング遺伝子:Klotho gene
2007年 05月 28日
横道にそれたが・・・
「個体老化の分子機構の解明」(京都大学大学院医学研究科 教授 鍋島陽一):pdfをみると、Klotho遺伝子の意味合いがなんとなくわかる
原著論文:
Mutation of the mouse klotho gene leads to a syndrome resembling ageing
Nature 390, 45-51 (6 November 1997)
週刊誌などでも話題にされている、Makoto Kuro-o(黒尾誠)博士の研究新しい成果
アンチエイジング遺伝子:Klotho geneはメタボリック、肥満に影響!
http://www.utsouthwestern.edu/utsw/cda/dept353744/files/357296.html
Klotho蛋白と線維芽細胞増殖因子(FGF)の関係をしらべた。FGF創傷治療や骨格筋発達のようなものと関係有るとされていた。特定のFGFは脂肪細胞でのみ活性があり、これはなぜなのかふめいであった。β-Klothoという、脂肪細胞で活性化されたものが、代謝的なFGFへの受容体となる可能性が示唆された。co-receptorとしてホルモンメタボリック機能を活性化する。
PNASに報告予定とのこと
Association of human aging with a functional variant of klotho
PNAS January 22, 2002 vol. 99 no. 2 856-861
KL-VS alleleはKlothoのtrafficking・catalytic activityに影響を与え、ヒトの加齢関連の表現型の発症・重症度と関連。
Suppression of Aging in Mice by the Hormone Klotho
Science Magazine 16 September 2005 Kurosu et al. , pp. 1829 - 1833
Klotho遺伝子発現欠如は、マウスにおいて多発的な加齢感受性特性を加速する。Klotho過剰発現は寿命を延ばすことが示された。Klotho蛋白の機能は細胞表面に結合し、インスリン・IGF1の細胞内発現を抑制し、寿命増加の可能性をしめすものである。
Klotho欠損マウスの加齢様表現型への変化が、インスリン・IGF1 signalingの変化をもたらす。このことがKlotho介入のアンチエイジング作用と考えられる。
本日見た朝日新聞記事に割とまともなことが書かれていた。
日本の診断基準では特に肥蒲が重視されており、ウエストサイズが一定以上であることが必須条件。つまり血糖値がかなり高くても、太っていなければ同症候群には該当しないことになると書かれている。
日本のメタボリックシンドロームというのは概念が中途半端なゆえのまともな報告だろう
・脂肪量=肥満を目的としているのか?
・脂肪細胞によるの産生産物や動脈硬化発生機序への影響を重視しているのか?
・糖尿病前状態をみようとしているのか?
いったいどれなのか・・・わからない。
厚労省の推進しているのは・・・なんとなくメタボリック・・・であり、これでは成果も会ったとしても評価もできまい(医療施策の成功・失敗を評価することを前提としたことは一度たりともない馬鹿役人)
高血圧や高血糖といった生活習慣病の危険要因を同時に抱えると、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高まるが、その程度は、太っているよりもやせている人の方が高くなりやすいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=上島弘嗣・滋賀医科大教授)の調査でわかった。来年度からの特定健康診査(特定健診)の柱となる「メタポリック症候群(内臓脂肪症候群)」の診断基準が、やせた人たちのリスクを見逃してしまう可能性を示したものだ。(田村建二)
上島教授は、90年に全国の保健所で健診を受けた人たちを約10年間追跡し、男女約7200人の宛亡原因などを調べた。 肥蒲の指標となるBMI(体格指数)が25以上の太った人が循環器病で死亡するリスクは、肥満でなくほかの危険要因もない人と比べると、基準を超える要因が二つの場合は1・5倍二二つ以上だと2・4倍だった。一方、BMIが25未満のやせた人で同じ比較をすると、それぞれ2倍、2・8倍となり、肥満傾向の人よりも高かった。やせた人でも体質的に高血糖や高血圧などを起こしやすい人がおり、太っている人よりリスクが高まりやすいらしい。
by internalmedicine | 2007-05-28 09:19 | 動脈硬化/循環器