薬剤師の存在に疑問を呈する論文2つ

この週のBMJのテーマはプライマリケアにおけるcommunity pharmacistの役割であるが、方法論に限界があるとしても薬剤師にきびしい内容


エディトリアルとして・・・

The role of pharmacists in primary care
BMJ 2007;334:1066-1067 (26 May)




Salterらは、老人へのアドバイスへの役割について検討し、助言、情報提供、教育がなされているのの関わらず、抵抗され、拒否されている実態の報告している。
これはコンサルテーション時の薬剤師・患者の“interactional difficulties”が問題であるという結論("I haven't even phoned my doctor yet." The advice giving role of the pharmacist during consultations for medication review with patients aged 80 or more: qualitative discourse analysis BMJ 2007;334:1101 (26 May)

2つめは、HollandらのRCTトライアルで、地域薬剤師の薬物レビューや助言が心不全患者の入院や生存率に影響を与えているかを評価したもの
6ヶ月時点で入院、QOL、死亡率に有意な差がなかった。(Effectiveness of visits from community pharmacists for patients with heart failure: HeartMed randomised controlled trial BMJ 2007;334:1098 (26 May)



2つの研究は違う研究手段であるが、プライマリ・ケアにおける薬剤師の役割に強い疑問がつきつけられている。


国は医薬分業という御旗の元、診療所外来においても調剤薬局への誘導という政策により、大規模調剤チェーンを含む調剤薬局を作り上げた。そのため、医療費に占める調剤費用は12.3%という(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/03/kekka4.html)状態になっている。雑に考えて、診療所→調剤という二度手間をかけさせて、費用増加を求めている日本のやり方も合理的なのか?・・・一度冷静に調査し、せっかく広がった調剤薬局という制度を活用する方法を探らなければならないはず・・・

by internalmedicine | 2007-05-28 11:05 | 医療一般  

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