「慢性腎臓病」(CKD)の診療ガイド
2007年 05月 28日
慢性腎臓病に初のガイドライン 日本腎臓学会 asahi.com 2007年5月27日(日)07:34
日本腎臓学会が「慢性腎臓病」(CKD)の診療ガイドラインを初めて作成した。慢性腎臓病は、腎臓の異常を早めに見つけるために提案された新しい病気の概念。同学会の試算では、国内では成人の19%がこれにあたり、今後健診などを通して普及を図るという。
腎臓病の多くは自覚症状がないまま進行するため、腎不全になるまで悪化して透析を受ける患者が増えている。しかし、早めに気づいて治療すれば、治したり、進行を遅らせたりすることが可能になってきた。
慢性腎臓病の概念は02年に米国腎臓財団が提案した。国内では昨年、同学会が、血液中のクレアチニンという物質の検査値で腎臓の働きを推測し、「濾過(ろ・か)能力が正常の60%未満」なら尿たんぱくなどに異常がなくても慢性腎臓病と診断、受診を勧める試みを始めた。
ガイドラインでは慢性腎臓病の人に対し、食事の塩分を減らすなどし、通常の高血圧の判断基準よりさらに低めに血圧を管理することを求める。さらに、濾過能力が50%を切ると病気が急速に進むため、専門医の受診などを勧めている。
・・・・がちがちのPDFでコピペ困難なようである・・・・こんなにがちがちにする必要有るのだろうか?
CKD診療ガイド (社団法人 日本腎臓学会)
要約:
1) CKD(慢性腎臓病)とは、腎臓の障害(蛋白尿など)、もしくはGFR(糸球体濾過量)60mL/min/1.73m2未満の腎機能低下が3か月以上持続するもの、である。
2) 推参GFR(eGFR)は以下の推定式で算出する。
eGFR(mL/min/1.73 m2)=0.741×175×Age^-0.203×Cr^-1.154 (女性は×0.742)
3) CKDは、CVD(心血管疾患)およびESRD(末期腎不全)発症の重要な危険因子である。
4) CKD患者の診療は、かかりつけ医と腎臓専門医の提携を通じて集学的に行う。
5) 次の場合は、腎臓専門医に紹介することが望ましい。
1) 0.5g/gクレアチニン以上または2+以上の尿蛋白
2) eGFR 50mL/min/1.73m2未満
3) 尿蛋白と血尿がともに陽性(1+以上)
6) CKDの治療にあたっては、まず第一に生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満の改善など)を行う。
7) 血圧の管理目標は130/80mmHg未満であり、緩徐に降圧することを原則とする。
8) 降圧にはACE阻害薬やARBを第一選択とし、必要に応じて他の降圧薬を併用する。
9) ACE阻害薬やARBの開始後は、血清Crや血清カリウムを2週間~1か月以内に測定し、その後もモニターする。
10) 糖尿病腎症ではHbA1c 6.5%未満に管理する。
11) LDLコレステロールを120mg/dL未満に管理する。
12) 腎性貧血を疑う場合は、腎臓専門医に相談する。
13) エリスロポイエチンや経口吸着薬の使用にあたっては、腎臓専門医と相談する。
14) 腎排泄性の薬剤は腎機能に応じて減量する。
15) 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、造影剤、脱水などは、腎機能低下のリスクである。
生活指導・食事指導に関しては
・ 水分の過剰摂取や極端な制限は有害である
・ 食塩摂取量の基本は1日6g未満である
・ 肥満の是正に努める
・ 禁煙はCKDの進行抑制とCVDの発症抑制のため必須である
・ ステージ3以上において蛋白質の摂取制限(0.8~0.6g/kg/day)はCKDに有益である
・ エネルギー量は30~35kcal/kg/dayにする(肥満の糖尿病では25kcal/kg/dayも可能)
・ 適正飲酒量はエタノールとして、男性では20~30g/day(日本酒1合)以下、女性は10~20g/day以下である。
CKDにたいする低蛋白食事の要件
1. 蛋白質摂取量を腎機能低下抑制のための有効量(0.8~0.6g/kg/day)まで減少させる
2. 炭水化物や脂質から十分にエネルギーを摂取する(脂質比率は20~25%とする)
3. 食事全体のアミノ酸スコアを100に近づける
1) 主食類(米飯、パン、麺など)をでんぷん製品あるいは蛋白調整食品を用いる
2) 蛋白質摂取源は、その60%以上を動物性食品とする
by internalmedicine | 2007-05-28 16:10 | 動脈硬化/循環器