標榜診療科の表記(たたき台)

気になる、標榜診療科の表記見直し

医者の数ほど診療の勉強の歴史があり、それを「主」たる診療科を2つに絞れとお上の命令。
自らが“総合医”となれるか?、はたまた、なった方が良いのか?それを診療科に反映させた方がよいのか?・・・まだ、全体像が判明してないので不安も多いだろうと・・・

“日医や日本内科学会などの学術団体が付与した認定資格を、要件の一部とする方向を示唆”との内容はいかなるものなのだろうか?

私の場合は、よほどのインセンティブが無い限り、自らの肉体的・心的ストレスから考え、内科+サブスペシャリティーを残そうと思うのだが・・・



提示されたイメージ

 (現行)                (新規)
   内科・アレルギー科・麻酔科  内科(一般・アレルギー)、麻酔科(ペインクリニック)

診療所:内科、放射線科、小児科  内科 放射線科 小児科
(たとえば医師一人である場合、2つまで「主」となる診療科を認める)

総合的な病院の看板:内科、外科、整形外科  内科(一般、神経内科、心療内科、人工透析)、外科(一般、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科)、整形外科(一般、腰痛、リウマチ)


<<標榜診療科の表記のみなおしについて>>(日本医事新報 No.4335(2007.5.26) p7)

1.診療科名の表記の見直しに関する基本的な考え方
 平成18年の医療法改正による「患者等への医療に関する情報提供の推進」の取組として、医療機能情報提供制度が創設され、また、広告制度においても医療機関が広告できる内容の大幅な規制緩和が行われた。
このような中で、広告可能な診療科としての標模診療科(政令で規定)についても、患者・国民にとって、より分かり易いものとし、その選択を支援する観点から必要な見直しを行う。

2.背景等
○現在の標模診療科名は、一般的な診療科と専門性の高い診療科が混在しており、患者・国民から見て必ずしも分かり易いものとはなっていないとの指摘がある。
○また、今回の医療法改正によって創設された医療機能情報提供制度においては、医療機関は専門外来に関する情報についても提供を行うこととなったが、一方で、広告制度においては、広告可能な診療科としての標模診療科(政令で規定)との整合性を図る必要があることから専門外来の広告は認められていない状況にある。

3.表記方法の考え方
患者・国民による、より適切な医療機関選択に資するという観点から、以下のように、診療内容に関して、詳細かつ分かり易い自由な表記となるよう見直しを行う。
①現在の診療科を「基本的な領域に関する診療科名」と「専門性の高い診療科領域(いわゆるサブスペシャルティ)等の内容に踏み込んだ部分」の組み合わせによって、多くの情報を、より自由に分かり易く表記できるよう工夫するとともに、医師が総合的な診療能力を発揮するための診療科名を創設する。
②医師、歯科医師の主たる診療科が分かるような表記とする。

4.医療法6条の6第1項により政令で定める診療科名(政令事項)
現在、医療法施行令に限定列挙している33診療科名(医科)を、患者・国民にとって分かり易い基本領域に関するものとし、政令上での規定を最小限にとどめた上で、6.の「専門性の高い診療科領域(いわゆるサブスペシャルティ)等の内容」と合わせることによって、より自由で分かり易い表記ができるようにする。

5.医療法6条の6第1項により厚生労働大臣が許可する診療科名(省令事項)
国民・患者の医療機関選択の支援という観点から、上記のように専門性の表記を充実するとともに、総合的な診療能力に関する医療に関する診療科として総合科を新設する。なお、総合科については、その一般概念が広いため、当面は厚生労働省において標模できる医師の資格を個別認定することとする。

6.「専門性の高い診療科領域(いわゆるサブスペシャルティ)等の内容に踏み込んだ部分」に関する考え方
診療に関して、基本診療に関する領域に組み合わせて表記する「専門性の高い診療科領域(いわゆるサブスペシャルティ)等の内容に踏み込んだ部分」については、より詳細な情報提供ができるよう、以下の範囲で原則自由とする。
(範囲)
○体の部位に関するもの(乳腺等)
○症状、患者の特性に関するもの(頭痛、女性診療科等)
○治療方法に関するもの(漢方、ペースメーカー等)
 ただし、これらの内容は、患者の治療選択等に資する情報であることから、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限られるべきである。
このため、上記の範囲は医療法等関連法令及び「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)について」(医政発第0330014号平成19年3月30日)に基づき広告が可能な範囲に限るものとする。

7.医師又は歯科医師の主たる診療科が分かるような表記方法について
診療所においては、勤務している医師又は歯科医師1人について「主たる診療科名」を原則2つ以内とし、その他の診療科名を「従とする診療科」として区別するような表記方法とする。

8.施行時期等
医療法施行令の改正に当たっては、従来の診療科名及び表記方法を一定期間は標模できるよう経過措置を講じることとする。(続きは More以下)





日本外科学会は厚労省案に反対を確認 標榜診療科名の表記問題 高久日本医学会会長も日本医学会・臨床部会で協議の意向
Japan Meicine(2007.5.28)
日本外科学会および関連学会は厚労省表記案に原則反対の方向
日本医学会の高久会長は標榜診療科名の表記案に対して「厚労省から十分な説明を聞いていないが、新しい案では基本診療科から外れた学会から反発があるだろう」と語り、サブスペシャリティー部分も煩雑でかえってわかりにくくなり、距離感があるとの認識のようである。同提案では学会関係者の理解を得ることは厳しいと認識していることも明らかにした。


厚労省は得意なな根回しをせず、平均年齢70超の幹部をもつ日医だけの突破で、ごり押しできると考えていたのだろうか?それとも反発は予想の範囲内として、提灯新聞・日経を手下にして、ごり押ししていくつもりだろうか?







 日医認定「総合医」などが標横の要件かこの「総合科」構想を巡っては、既に4月末時点で一部新聞が、同省が総合科にゲートキーパー機能を持たせ、診療報酬上の評価も検討する方針と報道。これに対し日本医師会の中川俊男常任理事は今月9日、「フリーアクセスの崩壊につながる」として断固反対を表明するとともに、日医が家庭医療関係3学会とともに準備を進めている「総合医」認定制度との趣旨の違いを強調している。
 21日の標梼部会で同省は、許可制とする「総合科」標校医の養成のあり方や認定要件については、新たに設置する標梼資格審査部会で検討していく考えを示した。
 認定要件に関してはさらに、「(総合的な能力を備えた医師の養成・認定に関する)今のいろいろな動きと協力して進めさせていただきたい」(菊間修一医政局総務課課長補佐)として、日医や日本内科学会などの学術団体が付与した認定資格を、要件の一部とする方向を示唆。
 また、総合科にゲートキーパー機能を持たせるとの報道は「全くの誤報」と強く否定した。
これに対し日医代表の内田健夫委員は、いわゆるかかりつけ医のスキルアップや振り分け・コーディネート機能強化の必要性は認めながら、「厚労省がそういう形で診療科にしてしまうのはなじまない」と違和感を表明。
 日医の「総合医」認定資格を「総合科」標樺の要件とする考え方に対しては、「フリーアクセスの侵害や人頭払い制導入につながる懸念がある」と反対した。



 厚労省の標榜診療科の見直し案に反対する方針で一致したのは、外科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、胸部外科、小児外科学会などの各学会。
日本外科学会が24日に各学会の代表者を招集して開いた緊急会議で合意した。
6月に拡大会議を開いて対応を協議する。
 日本外科学会の兼松隆之会長(長崎大教授)は本紙の取材に対し、「診療科名の見直しは国民や医療現場が受ける影響が大きい。この件は性急に結論を求めねばならない事項ではない。患者・国民の声や医療現場の意向を十分に反映した上で、見直し作業を進めてもらいたい」と訴えた。
 医療法第6条の6では、標榜診療科を定める政令の制定や改廃の立案に当たっては、厚労大臣が「医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならない」と定めている。
外科系学会は厚労省からは何の相談もないとしており、各学会が医療法の指す「学術団体」に含まれるかどうかも議論の行方に影響を与えそうだ。
また、日本内科学会の永井良三理事長(東京大教授)は厚労省案の問題点を整理し、学会の内部委員会で対応を検討するとしている。
 一方、日本医学会の高久史麿会長も同日までに本紙の取材に応じ、標榜診療科名の表記案に対して「厚労省から十分な説明を聞いていないが、新しい案では、基本診療科から外れた学会の反発があるだろう」と合意形成は容易ではないとの見方を示した。

医師会FAXニュース 【平成19年5月29日(火)】


これだけ見れば、日医と内科学会には事前相談があったのでは?・・・という疑念がもたげる。
外科学会としてはふざけんなと言いたいだろうし、小児科・産婦人科系学会はメディアからも蚊帳の外?

拙速な議論だけはさけるべき!

当事者無視なら、日医・日本医学会全体でボイコットすべきだろう・・・と、地べた会員は思うのであった

by internalmedicine | 2007-05-28 19:43 | 医療一般  

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