好気的運動のHDLへの影響:最小必要量・運動時間などキーポイント指摘される

運動と脂質への影響のメタアナリシスは以前から行われている。
Differential effects of exercise on serum lipid and lipoprotein levels seen with changes in body weight. A meta-analysis
JAMA Vol. 254 No. 7, August 16, 1985
体重不変の時、コレステロール・LDL-C値は有意に減少 (7.3 mg/dL 、3.3 mg/dL)。BMI減少の時、LDL-C値も有意に減少 (13.2 mg/dL 、11.1 mg/dL)
しかし、体重増加群では、コレステロールとLDL-C値ともに2.9mg/dL、3.0mg/dLと増加
この結果はコレステロール・LDL-C値は体重減少効果とともに生じる
・・・で、HDLーC は3.3mg/dl低下するようである。減量効果が有ればさらに数字は改善するというエビデンス。

今回日本の研究者のメタアナリシスで、より深い検討がなされている。
効果が現れる特定の閾値運動時間があり、運動時間に依存して効果があり、コレステロールが高いほど効果があり、BMIは少ないほど効果があるという報告

Effect of Aerobic Exercise Training on Serum Levels of High-Density Lipoprotein Cholesterol  A Meta-analysis
Arch Intern Med. 2007;167:999-1008.

【序】 好気的運動は心血管疾患のリスクを減少するとされ、HDL-C減少効果がその一部理由とされている。しかし、この効果は介入研究により比較的ばらつきがある。
【方法】 Electronic database searches of MEDLINE (1966-2005) のRCT
【結果】 25の文献
HDL-C値の総平均は統計的に有意だが、軽度(2.53 mg/dL [0.065 mmol/L]; P<.001)
HDL-C値増加効果が認められる最小週運動量は、推定週エネルギー消費900kcal、運動120分
単変量回帰分析によれば、各セッション10分運動延長する毎にHDL-C値は約1.4mg/dL(0.036mmol/L)増加する。
しかし、運動回数や運動強度の相関は有意ではない。
多変量解析でBMI<28もしくは総コレステロール≧220ではHDL-C値として、BMI≧28もしくは総コレステロール<220mg/dlよりHDL-Cが約2.1mg/dl増加することが示された。
【結論】 規則的好気的運動は軽度HDL-C値を増加
この効果を得るためには一定の最小限運動を行う必要がある
セッション毎の運動時間が運動処方の重要な鍵である
運動治療は高コレステロール血症患者もしくは低BMIの対象の方が、HDL-C値減少効果高い

by internalmedicine | 2007-05-29 08:57 | 動脈硬化/循環器  

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