腸管絨毛に存在するMyosin-1aは分子モーターとして働き栄養吸収に関与している

そういえば、腸管のミオシンというのは平滑筋のミオシンに話題が集中していたわけだが、絨毛を形成する腸上皮細胞にもミオシンが含まれており、それが、腸管からの栄養摂取に関与しているという話で・・・なんかの病気と関係するかもしれない・・・という話。

Myosin-1a powers the sliding of apical membrane along microvillar actin bundles
The Journal of Cell Biology, Vol. 177, No. 4, 671-681

腸管細胞の微小絨毛には様々な上皮細胞に共通してアクチン様な膜様突出物が存在し、この腸細胞刷子縁(brush border:BB)の微小絨毛内に、myosin-1a(Myo1a)が原形質膜と偏在するアクチン束をつなぐ規則正しいアンサンブルを形成している。



腸の微小絨毛の中心部にある核となる束が中心構造をなし、構造蛋白アクチンの配列となっている。アクチン束が加算式の横木となり、表面膜に結合している、モーター蛋白myosin-1aが形成される。
ミオシン自体は筋肉収縮と関係あるわけだが、このミオシンは構造的役割のみと考えられている。教科書にも微小絨毛が受動的屋台骨としての役割を果たしており、表面膜の構造をさらに複雑化している役割を果たしているとして書かれているとのこと。確かに、腸内では、栄養処理過程や担体、栄養分摂取処理能力が表面面積が広がるほど有効となるわけだが、モーター蛋白が受動的役割のみと考えられていた。

分離BBにてATPを加えると、微小アクチン束に沿って尖端膜がプラス端へ移動する、この微小絨毛の先端の上で、細胞膜は小胞を形成して消失する。この動きはMyo-1駆動によるプロセスであり、Myo-1のはたらきを栄養源供給ストップすると消失する。
Myo1aは運動性と有しており、腸管の絨毛機能に重要な役割を果たしていることが判明した。


Myo-1は顕微鏡で、 細胞膜がmicrovilli の先端に向かって動き、そして 小胞形成 し、微小な泡つぶの小包となり終端でパッと外れるのを観察した・・・そういう動的働きをしているのだろう。



by internalmedicine | 2007-05-31 11:07 | 消化器  

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