内因性テストステロン値と認知機能:男性更年期という商売はなりたつのか?

女性においてはエストロジェンが、男性においてはテストステロンがneuroprotectiveに働くという仮説(Med Hypotheses. 2003 Mar;60(3):448-52.)は安直で、特定の人たちの商売にとても便利なので広まった。特にDHEAなどのサプリメントが米国サプリメント業界の野放しになっている事もあり・・・アンチエイジングなどと年齢をさかのぼらせるなどとミスリードさせる連中も大量出現。


DHEA in Elderly Women and DHEA or Testosterone in Elderly Men
N Eng. J. Med. 355:1647-1659では、DHEAもテストステロン補充も体組成や身体パフォーマンス、QOL、インスリン感受性に対して影響を与えなかったという・・・介入試験結果でやや冷や水をかぶったはずだが・・・

今度は、話は・・・認知症や認知機能衰弱を持ってこようとする

2000年頃、テストステロン低値とアルツハイマー病に関する報告が続けてなされている。

Serum total testosterone is lower in men with Alzheimer’s Disease
Neuroendocrinology Letters 2001; 22:163–168(pdf

Testosterone reduces neuronal secretion of Alzheimer's beta -amyloid peptides
PNAS Vol. 97, Issue 3, 1202-1205, February 1, 2000


テストステロンと認知機能に関しては最近レビューが報告され、低内在性テストステロンと認知機能の関係を積極的に認め、治療介入にも肯定的な表現が使われている。
Testosterone and cognitive function: current clinical evidence of a relationship
European Journal of Endocrinology, Vol 155, Issue 6, 773-781
健康老人の低内因性テストステロンは認知機能試験の少なくとも特定の領域でpoor performanceと相関。
ランダム化、対照試験の結果は様々。
しかし、テストステロンが特定の認知機能領域に低ゴナドトロピン名のかどうかは関係なく中等度効果があることを一般的には示唆
アルツハイマーでも、MCIでは同様の結果



だが、果たしてほんとに有効なのだろうか?

これは、“テストステロン補充するならモニタリングが必要”という論文(N Engl J Med Volume 350:482-492 January 29, 2004 Number 5)を無視した危険な報告と思う。

今回紹介する論文は、横断研究(1046名の居宅男性(35-80歳))の研究:FAMASとかいうもの・・・

病歴、身体計測、医薬品使用、喫煙、アルコール、情緒など測定
ホルモン測定としては、
総テストステロン(TT)
活性型テストステロン(BT)・補正テストステロン(cEFT)(Free & Bioavailable Testosterone calculator
エストラジオール (E2)
sex hormone binding globulin (SHBG)
卵胞刺激ホルモン (FSH)
黄体ホルモン (LH)


内因性テストステロンが高くなることで、高齢者では、認知機能低下に悪化影響を及ぼすと結論づけ

補正遊離テストステロン値と総テストステロン値が言語記憶・遂行機能パフォーマンスの悪化と相関し、処理スピードの速さと相関する。
補正遊離テストステロン値は、加齢と言語記憶パフォーマンスと中等度相関
この補正遊離テストステロン値加齢と処理スピードの関係に関連する。



横断研究なので、現象のみ記述されているわけである。
結論の内因性テストステロンが果たして影響を与えたのかは不明であり、内在性のテストステロン低下を及ぼす介入によってこれらが改善するか不明である。

テストステロン値増加は、“雑なパフォーマンスを伴わない、質の低い行動のみ増え、言語機能の低下”と相関するという現象・・・これをいかに評価するか?

by internalmedicine | 2007-06-05 09:20 | Quack  

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