コムスンの処分骨抜きに思う・・・
2007年 06月 07日
コムスンの全事業「グループ子会社へ」 処分骨抜きに
Asahi.com 2007年06月06日23時35分
介護事業所の指定を不正に取得したとして訪問介護最大手のコムスン(東京都港区)が今後4年半、すべての事業所の新規指定や更新が認められなくなった問題で、親会社のグッドウィル・グループ(GWG)は6日、コムスンの事業を同グループ連結子会社の日本シルバーサービス(東京都目黒区)に譲渡する方針を決めたと発表した。厚生労働省は法的には問題ないとしている。事業がそのまま譲渡されれば、約6万5千人へのサービスは継続されることになるが、同省による処分が骨抜きになり、意義が問われそうだ。
日本シルバーサービスは、・・・・
これは、医師会などの医療系への株式会社参入阻止(pdf)に、助け船になるだろう。
なぜなら、医療法人は、経営者である医師本人への処分もあり、医師でなければ理事長となれないため、法人・事業所への処分と、個人への処分が二重に科せられるからである。
また、福祉法人なども福祉法人自体を取り消され、事業継続が困難となるため、実質は死刑宣告となる。
医師会の主張
① 株主のために利益の最大化を図ろうとする株式会社は、救急医療、周産期医療、へき地医療などの不採算部門には進出しない。また進出したとしても、利益が上がらないと分かれば簡単に撤退する。→地域における医療提供体制を安定的に確保することが困難になる。
② 株価の低下を防ぐために、リスクの高い手術や重症患者を受け入れなくなる可能性がある。→患者の選別が起こる。
③ その一方で、特別な療養環境、国内未承認薬の投与、先進医療など付加的サービスの提供を求める富裕層は歓迎する。→さらに利益を広げようとして、混合診療解禁論が過熱する。
④ 株式会社による医療機関経営については、構造改革特区での自由診療の範囲内で可能となったが、日本医師会は特区においても一貫して参入に反対してきた。生命と健康を担う医療は、間違いは許されない分野である。参入件数がいまだ1件なのは、取り扱える医療が限定的だからであるが、参入を増やすために範囲を拡大するなどという発想で、患者を危険に晒したり、患者が不利益を被ったりするようなことがあってはならないと考える。
これに、今回のような事例、不正があってもグループ内存続が可能となり、厚労省の処分が骨抜きとなるということが加わる。
今回のグッドウィルグループのような民間参入を許すということは、行政は事業継続にNo!といえないこととなる。厚労省は素行の悪い法人の医療・介護・福祉に関する事業をストップできないという・・・お役人さんたちのメンツをつぶすことにもなるのである。お役人さんたちは、メンツのため、詐欺罪などで刑事罰に問うということができるかどうか・・・検討されてはいるだろうが・・・バックに経団連が・・・
経団連は強く医療への株式会社参入を要求しているが、今回のことを、医療系団体や福祉系団体が強く主張すれば、政府・財務省もごり押しできないはず(・・・まぁ 厚顔な連中だから・・・わからんけど・・・)
親分格?のオリックスはさすがにやり方がうまいが・・・結局、介護・医療で、利潤をえることを真表に持ってくる手法は限界がある。
・『高知医療センター やはり最高責任者退職!』~全国のPFI信奉者に冷水!~(長 隆)
http://www.izai.net/koiryo.html
・『高知医療センター TOP人事に見る先行き不安』(長隆)
http://www.higashinihon-group.com/jichitai_topics/000282.html
公的病院をつぶして、民間委譲さかんだが、採算度外視して診療を続けざる得ないというのは公的病院の良いところだったはず・・・行政が負担しても維持継続すべき病院がいっぱいあったはずだ・・・ところが、経団連の政治介入、特に医療・福祉・介護を草刈り場と考えて、かれらの論理で現場に混乱をもたらす・・・そういう事例があからさまになってきた。
そういう見方で、継続的に報道してくれるのはどのメディアがあるのだろうか?
私は覚えているのだが、介護保険におけるコムスンの不正をフジテレビで医師会側が民間参入の悪例としてたとえたが、例の医師憎しの司会者、話を完全無視していた。広告宣伝費宣伝費を10億超(無断引用:http://www.y-sakuma.com/calen/calen.cgi?mode=main&action=view&YMD=20070522&w=2)使っている効果なのだろうか。今後、広告費用圧縮の予定らしく、手のひらを返したグッドウィルたたきが始まるかもしれないが・・・
そういえば、日曜朝の“ニュース”番組にGWGの宣伝がめだったと感じたことはないだろうか?
これはメディア戦略をおもわせるものである。
たとえば、コムスンのサイト(http://www.comsn.co.jp/comsnpress/new/2005/07/07/)に報道ステーション、サンデープロジェクト、ワールドビジネスサテライトと報道系主体に広告主となっているのである。報道に対して目を光らせていたのかもしれないし、ひょっとして恣意的報道を・・・・などと考えてしまうのだ。民放だけでなく、“コムスンが応援している「NHK介護百人一首」”と某公営放送局にさえ入り込んでいるのである。“クリスタル関連だけで7件、損害賠償総額12億円の〝対メディア訴訟〟を抱えていたという。「ダイヤモンド、毎日新聞、日刊現代などが訴えられていたが、いずれも和解の方向で解決したいと、折口会長がわざわざ会見で述べていましたね」(前出の証券業界記者)”ということで、GWGは他分野、派遣関係でもメディアからの追求に対して強い姿勢をとっていた。介護事業は比較的メディアの追求が甘くなることで、世間からその問題ある姿勢の目をそらさせていた。・・・偽善的なコムスンの誓いはその典型。読売新聞への圧力は4月24日の敗北宣言で終了していた。
外資系企業まで政治献金の幅を広げ、ますます、政治活動に積極的な経団連、医療福祉介護事業を草刈り場とばかりに、医療関係では公的病院に入り込みPFIのごり押し、その上、株式会社参入を謀り、介護ではこのコムスン・・・。
by internalmedicine | 2007-06-07 07:24 | くそ役人