米国冠動脈疾患死亡率半減(1980→2000年)の理由

公衆衛生的な改善と直接の医療の向上が心臓疾患死減少に寄与するというのは疑いない。

NEJMでは、USでの心臓疾患死が減少した原因をどの要因が程度寄与したのか・・・解析を行っている。

2つの要因
1)喫煙、総コレステロール、高血圧を含むmajorな心血管リスク要因の頻度減少
だが、肥満や糖尿病頻度は増加している。
2)冠動脈疾患治療、特にエビデンス・ベースの治療のブレイクスルー、血栓溶解、CABG、冠動脈再建・ステント、ACE阻害剤やスタチンなど



冠動脈疾患への年間直接・間接コストは1兆4250万ドルで、しかも増加
US内では、1990年以前のリスク要因減少寄与 50-54%と推定
他の先進国では44-76%と推定(引用論文から推定すれば日本のデータは入ってない!)。


アメリカでは1980年→2000年で、人口10万あたり冠動脈疾患死亡、男性では542.9→266.8、女性では263.3→134.4と減少




この減少の47%は二次治療を含めた治療による効果と試算
・心筋梗塞・血管再建療法によるもの:11%
・急性心筋梗塞・不安定狭心症による初期治療:10%
・心不全治療:9%
・慢性狭心症の血管再建:5%
・その他:12%


約44%はリスク要因のへの関与が関係
・総コレステロール減少:24%
・収縮期血圧:20%
・喫煙頻度:12%
・運動不足:5%


BMI増加や糖尿病増加により部分的には効果減弱となり、BMI増加で8%、糖尿病増加で10%ほど治療効果を減弱してしまっている。

Explaining the Decrease in U.S. Deaths from Coronary Disease, 1980–2000
N Engl J Med. Volume 356:2388-2398 June 7, 2007 Number 23





予防・遅延化死亡推定式:
死亡者数 = (1 – e(coefficientxchange)) x 1980年の死亡数
= (1 – e(–0.035x3.09)) x 26,352 = 2701

日本の統計だが・・・死因統計の取り方が代わったので途中で折れ曲がりがある。
だが、米国ほど減少してない・・・
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死因順位(第5位まで)別にみた死亡数・死亡率(人口10万対)の年次推移

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平成17年 人口動態統計の年間推計

世界的に見れば、心血管疾患は減少しているが日本では減少していない・・・元々少ないからと反論されるだろうが、様々な要因による医療現場の崩壊の音が聞こえる日本では今後、心血管疾患死亡数が減少するとは思えない。

経団連の方向ばかり見てやりたい放題の政府・与党・・・そろそろ彼らの悪行が数字となってでてくるころである。
ref.)
生活困窮により受診回数を減らした結果心不全は悪化する
医療報酬削減・・・・>今後の医療事故は政府・小泉に責任有り
2年前の私たちの予測より受診抑制は激しかった

by internalmedicine | 2007-06-07 11:30 | 動脈硬化/循環器  

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