標榜診療科名見直しに関する要望書(日本内科学会)
2007年 06月 14日
13学会理事長連名 2007年6月14日付
基本診療領域は、内科、外科の基本的な専門領域(いわゆるSubspecialty)をも含んでおり、医師の基本的な専門性と、一定のトレーニングプログラムに基づく修練を経て認定された研修度を最もよく表しています。従ってこの基本診療領域は、今回の医師の主たる診療科を表示する見直し目的に最も合致するものであり、その他の専門医資格が今後この基本診療領域を中心に整理されることを考慮すると、標榜診療科名はこの専門医研修に裏付けられた基本診療領域と一致するべきものと考えます。また、標榜診療科は各種診療報酬の施設基準にも組み込まれており、これらとの整合性なく見直すことは難しいものと認識していま
関連する学術団体の意見を聴取することが医療法で定められており、多くの専門領域を有する内科、外科の、さらには専門医制度認定の担い手である日本専門医認定制機構の意見聴取を要望するものです。また総合科の新設についても関係諸学会と十分な時間を掛けた協議を要望します。
なお、医師法第2節 第6条の6
厚生労働大臣は、前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならないとある
日本医師会はかなり積極的なのだが、日本内科学会・日本外科学会は慎重で、かつ、既存の認定医・専門医制度の活用を訴えている。日本医師会と日本内科学会・日本外科学会と微妙な意見の相違があるのである。
ところで、社団法人日本医師会と社団法人日本内科学会・社団法人日本外科学会の関係というのは実は不可思議な関係なのである。
日本医師会のウェブサイトには・・・
日本医師会定款第10章第40条に「日本医師会に日本医学会を置く」とされ,日本医学会は,日本医師会と密接な連携の下に,「医学に関する科学および技術の研究促進を図り,医学および医療の水準の向上に寄与する」ことを目的としているとあり、そこに書かれている学会は日本医学会・分科会にすぎないと主張されているのである。
そして、“日本医学会の活動は,あくまで学問中心で,その会員制度は学会単位の加盟である”とある。
医師会側から見れば、日本医学会は、日本医師会内部組織であり、日本医師会長をはじめ執行部は、都道府県医師会という下部組織から代議制に基づき選出される。日本医学界は医師会の執行部選出権利がなく、代表権もないという不思議さ・・・・
要するに、日本医師会側から見れば各学会は隷属した組織なのである。
・・・知ってました?
日本内科学会や日本外科学会は、この矛盾をどうお役人に説明していくのでしょう。
各学会の意向を無視して日医が行くのなら、日本医師会と、一線を引いた方が良いのでは・・・・
日本内科学会誌 2007 June 10(966) No 6から
平成18年10月25日
中間法人・日本専門医認定制機構社員各位(加盟各学会)御中
中間法人・日本専門医認定制機構
代表理事 藤原研司
日本医師会第III次学術推進会議報告書「我が国における専門医のあり方」に対する本機構理事会の対応について
本年2月23日開催の社員総会において提示された,日本医師会第III次学術推進会議報告書「我が国における専門医のあり方」については,社員各位から批判的なご意見が提起され,また,本年5月29日の同総会においても,本機構の対応について多くの議論があったことはご承知のとおりです.
上記の社員総会(本年5月29日開催)での議論を受けて,直後に開催された理事会において,藤原研司が新代表に選出され,新たな役員体制の下に新理事会が発足し本機構の運営がスタート致しました.
新理事会においては,前理事会に引き続いて,①本機構の社団法人化による社会的基盤の確立,②専門医制度整備指針の作成,③専門医の区分と位置付け,④基本領域専門医制度の評価,⑤HPによる研修施設の一覧の公表など,制度の充実に向けての活動をさらに活発化させるべく努力しているところですが,標記の日本医師会の第III次学術推進会議報告書に対し,本理事会として下記のとおり対応する方針と致しましたのでご報告致します.
記
1.報告書の提案内容と問題点標記の報告書(日本医師会第III次学術推進会議報告書)は,日本医師会の中に設置された第III次学術推進会議によって策定されたものであり,日本医師会が考える今後の専門医制のあり方を示した内容となっている.報告書に記載されている具体的な提案は,以下の4項目に要約できるものと思われる.
(1)現在の専門医を,認定医と専門医の2段階とし,細分科の前に必要な共通の知識・技術を保障するものとして認定医を設ける.
現状の認定内科医の取得後にSubspecialtyの内科専門医を取得する方式を参考とする.なお,かつて三者懇談会時代(後述)の「基本領域の専門医」を「認定医」にしては如何か.
(2)基本領域の認定医のプログラムに日本医師会の生涯教育カリキュラムの「基本的医療」を組み入れる.
(3)日本専門医認定制機構に加入し,かつその専門医の表示が認められている学会の中から特定の専門科を選び,かつ,該当する専門医の数を限定的なものとする.この専門医を特定専門医(仮称)と称し,その扱いは以下のとおりとする.
①特定専門医は,日本医師会,日本医学会,専門医認定制機構,学識経験者,市民による第三者機関が認定する.これらの提案のうち,例えば,「基本領域の専門医を認定医に変更すること」,「基本額域の専門医の研修プログラムに日医の生涯教育カリキュラムを含めること」,「特定専門医の認定を学会ではなく日本医師会を含む新たな第三者機構が行うこと」,「日医のかかりつけ医を通して専門医を受診する体制を図ること」などは,従来,当機構が進めてきた専門医制度の枠組みとは大きく異なる内容となっており,当機構としては,容易には受け入れ難い提案と考える.
②特定専門医の評価(選定)は専門医認定制機構が行う.
③特定専門医の所属施設に診療報酬上の対応を検討する.
(4)日医のかかりつけ医を通して専門医を受診する体制を確立する.
すなわち,今回の提案は,我が国の医学関係団体よりの一つの意見として受け止めるべき内容であり,本理事会としては,今後,当機構内での検討の中で必要なものは取り入れて行くが,基本的には日本医師会から専門医についての提案があったという事実に止めるべきとの判断を行った.
2.当機構設立の経緯と日本医学会,日本医師会との関わりしかしながら,日本医学会,日本医師会は,共に,かねてより医学・医療の分野で重要な役割を果たしてきており,また,歴史的に見ても我が国の専門医制度に深く関わってきた団体であることは事実である.
すなわち,本機構の設立の経緯をみると,本機構の母体は,昭和55年に.日本医学会加盟の学会が認定した認定医・専門医に関わる制度の整合性と,専門医の社会的認知を得ることを目指して設立された「学会認定制協議会」である.その後,昭和61年に「学会認定制協議会」と「日本医師会」,「日本医学会」の三団体よりなる「三者懇談会」が設置され,平成5年には,基本領域の13の専門医(その後脳神経外科学会が追加され14領域となった)について.上記の三者による承認が行われることとなった.これは,我が国専門医の社会的認知の第一歩と位置付けられていた.
その後,平成13年に至り,多くの学会による専門医制度の発足と専門医の誕生を受け,学会認定制協議会のさらなる充実とともに第三者的性格を持たせるべきことが議論される状況となり,「学会認定制協議会」は.「専門医認定制協議会」と名称を改め,さらに,平成14年には,中間法人格を取得した「専門医認定制機構」となって現在に至っている.
一方,平成14年3月29日付けの厚生労働大臣告示によって,同年4月1日より,一定の外形基準を満たした団体の認定する専門医の広告が可能となり,現在,多くの学会による広告可能な専門医が誕生している.この外形基準による広告可能な専門医の仕組みの発足を受けて,当機構の対応に混乱があったことは率直に認めなければならない.
このような情勢の変化を受けて,平成15年6月3日に開催された第27回三者懇談会において「三者承認」は平成14年10月1日付けの承認を最後にすることが合意された.
かかる状況の中で,このたびの日本医師会の報告書が提出されたが.前述のとおりその内容はあくまで日本医師会第III次学術推進会議の意見であり,当然のことながら,当機構の方針を規定するものではない.また,本理事会としては,医学関係団体の意見の一つとして受け止め.あくまで,従来通り当機構が主体性をもって,我が国の専門医制度の充実と発展を図る所存である.
3.日本医学会ならびに日本医師会との意見交換に対する今後の対応と,今回,新たに提案のあった「専門医制審議会」への参画について
前述のとおり,日本医学会,日本医師会は,共に我が国の医学・医療分野で重要な役割を担っており,本理事会としては,両団体のみならず,関係省庁,さらには広く一般社会の諸団体とも連携をもって我が国の専門医制度の充実と専門医の質の向上,社会的意義の確立にむけて協力関係を築くべきと考える.
ところで,前回の総会において前代表理事から報告のあった,「日本医師会,日本医学会との問の意見交換」については,当機構と日本医師会,日本医学会の三者間で平成18年2月20日,同3月24日,同5月24日に意見交換が行われており,さらに,去る平成18年6月13日に小職が代表理事として初めてこの場に加わり.従来の経緯について説明をうけた.席上,日本医学会の高久史麿会長より,かかる意見交換の場を設けた真意は,この度日本医師会が従来ともすれば反対の立場を取ってきた専門医制度について,改めて理解を示す姿勢に転じたことを受けて,日本医学会として,当機構(専門医認定制機構)が専門医制に関する中核となるべき機関としてより迅速に対応出来るよう支援する意向であることが示され,小職として,その意向については理解を示したところである.
かかる了解の下に,本年7月に至り,日本医学会の高久史麿会長より,我が国の専門医制度を大所高所から考え広く提言することを目的に,日本医学会,日本医師会,当機構さらに学識経験者を加えた第三者的な組織「日本専門医制審議会」を発足させたいとの提案が本機構宛にあり,本提案は,本機構の定款第1章,第3条「目的」の第3項にある「専門医認定制に関する社会の理解を深めるための活動」とも合致するとの判断の下に,平成18年8月25日,日本医学会,日本医師会,当機構の夫々の代表者,および,日本医学会が選任した学識経験者等が当機構会議室に集まり,厚生労働省の事務官陪席の下,第一回の会合がもたれた.その席上,同審議会の座長として「日本医学会会長・高久史麿氏」を選定し,会の目的は「我が国の専門医制度について,厚生労働省と当機構に提言を行うこと」が合意された.
また,席上,小職から,我が国の専門医制度の現状と今後の方向性について詳述し,当機構が主体性を持ってその充実と発展を図る所存であることを強く主張し理解を得たところである.なお,同審議会における議論は,「日本医師会第III次学術推進会議報告書一我が国における専門医のあり方」の提言内容とは全く無関係に,あくまで我が国の確固たる専門医制度の確立に向けて,その中核となる当機構を支援し助言を行う方向で進められている事を補足させて頂く.
本理事会としては,この審議会の議論の中で当機構の意向を充分に反映させ,社会の理解を得つつ,社会から信頼される専門医制度の確立を目指す所存であることを改めて社員各位に表明する次第である.
いずれにせよ,今後は,各学会の自助努力が最も重要であることは論を待たないところであるが,当機構としては,設立の原点にかえり,社員である各学会と意見を充分に交換し,相互の理解を深めつつ専門医制度の整合性をはかり,専門医の質を高め,当機構が主体的に,真に国民から信頼される専門医制度の構築を目指す所存であることを理事会として再確認したことを重ねて表明させて頂く.
by internalmedicine | 2007-06-14 17:40 | くそ役人