背部痛に対する鍼治療のまとめ

慢性腰痛が整形外科(整形内科?)の大きな収入源にあるのにかかわらず、慢性除痛手技に関する確たるエビデンスが出てこない、にもかかわらず、再診料逓減制に反対し、受診回数の比較的少ない内科疾患を道連れにしたのではないかと各科抗争がくすぶっております。この方面の医師がしっかり科学的エビデンスをだされることを祈念しております。


違法性の高いにもかかわらず放置されている医療無資格者のマニピュレーションを放置している管轄省庁の問題。療機関ノータッチの慢性頭痛性疾患は保険診療外にもかかわらず柔道整復が保険診療されている事例が多いという問題などもあります。高齢化に伴い、慢性腰痛患者は、合法非合法にかかわらず草刈り場的であります。


最近、治療効果がないにかかわらず過度な宣伝を行うことが取り締まられるようになって(「やせる」広告、根拠なし 公取が製薬会社に排除命令 H16.7.2共同通信)います。根拠あるかないかが、今後、合法か否かということにも関わってくるわけです。


鍼に関しては欧米でも、医療費を如何に安く上げることができるかという面もあり、関心が高く、比較的エビデンスがそろってきつつあります(効果は限局であるという方向性と私はみてますが・・・)。代換治療は一度ひろまったら、なかなか消失しないし、変な宗教へと変質したりという社会的リスクがあると私は思うのです。結果的にはネガティブなものは多大なる社会的被害をもたらしていることになります。

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American Health Consultants - Hot Topics in Healthcare

<序>
背痛は受診中5番目の理由である。NSAIDSや理学療法が主な保存的マネージメントから侵襲的な治療としては硬膜外へのステロイド注入・手術などもある。針治療がもっとも補完・代換的の一つである。1997年、NIHコンセンサス・パネル(Acupuncture. NIH Consensus Statement 1997;15:1-34.)では成人の手術後化学療法関連の嘔気・嘔吐に有効であり、妊娠時の吐き気にも有効と結論。さらに、同パネルでは、生理痛、テニス肘、線維性筋痛症のような様々な痛みに有効である可能性が結論づけられた。
しかしながら、背痛に対する鍼治療の有効性に関しては相反する情報がある。明確な鍼治療の有効性のエビデンス不足にかかわらず、基礎科学がそのメカニズムをあきかにされている部分もある。


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メタ・アナリシス&システミック・レビュー
【著者】Ernst and White
【文献】Acupuncture for back pain: A meta-analysis of randomized controlled trials. Arch Intern Med 1998;158:2235-2241.
【比較】Sham,、他の治療、無治療
【対象論文】12RCT
【結果】介入対照群との改善オッズ比 2.30(95%CI 1.28-4.13)、sham鍼では 1.37(95%CI 0.84-2.25)。研究の大部分は良質。
【結論】鍼治療は他の対照介入に比較して優れている。sham治療に比較して優れてるかどうかは十分なエビデンスがない。

【著者】van Tulderら
【文献】The effectiveness of acupuncture in the management of acute and chronic low back pain. A systematic review within the framework of the Cochrane Collaboration Back Review Group. Spine 1999;24:1113-1123.
【比較】Sham、他の治療、無治療
【結果】8つのポジティブな結果の原著、僅か2つの研究のレビュー
鍼治療vs無治療に対して相反するエビデンス。トリガーポイント注射やTENSに比較して有効性は認めない。プラセボやsham鍼よりより有効性が高いという所見は多くのトライアルで認められない。
【結論】鍼治療は腰部痛に標準治療として認められるものではない。より高い質のRCTが必要。
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【機序】(かかれた内容がはしょりすぎ?・・・追記
筋肉内の小径神経の刺激に始まり、脊髄、中脳、下垂体とパルスが送られ、モノアミンやエンドルフィンといった神経トランスミッターが遊離され、痛み信号の伝達をブロックするというもの(Stux G, Pomeranz B. Acupuncture: Textbook and Atlas. Berlin: Springer-Verlag; 1987. )。
エンドルフィン拮抗剤であるナロキソンにより明らかになった。ナロキソンがランダム化二重盲験健康ボランティア対照で鍼麻酔がブロックされることを証明した。同様の研究で用量依存反応も見いだされた。
セロトニンやノルエピネフリンといったモノアミンも鍼麻酔に関与していることが判明。セロトニン拮抗剤やノルエピネフリン拮抗剤の微小注入により鍼麻酔の効果が妨げられる。
Han CS, et al. The role of central 5-hydroxytrypta-mine in acupuncture analgesia. Sci Sin 1979;22: 91-104.
Han JS, et al. Neurochemical basis of acupuncture analgesia. Annu Rev Pharmacol Toxicol 1982;22: 193-220.

※SSRIやSNRI治療している人は鍼治療の効果を低下?





最近のStudy

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Cherkinら(A review of the evidence for the effectiveness, safety, and cost of acupuncture, massage therapy, and spinal manipulation for back pain. Ann Intern Med 2003;138:898-906. )の結論
鍼治療・マッサージ、脊髄マニピュレーションのエビデンスのレビュー(有効性、安全性、コスト)
・マッサージは持続性背痛に有効
・マニピュレーションは臨床的効果が乏しい
・鍼治療の有効性は不明のまま
・治療はほぼ安全と思える
・マッサージの予備的エビデンスは示唆するが、鍼・マニピュレーションは初期治療後のケアのコスト減少をもたらすかもしれない。



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by internalmedicine | 2004-07-03 10:45 | 医学  

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