糖尿病:男性に限っては死亡率減少、女性は増加 in USA

40年間の努力が実って、USでは心血管死亡率減少となっていると主張しているわけだが、糖尿病患者での死亡率減少がみられるかは不明であった。それを明らかにするための調査


Mortality Trends in Men and Women with Diabetes, 1971–2000
Ann Intern Med. 2007;147( pdf )
糖尿病男性の間で、全原因死亡率は、1971 ~ 1986年 から 1988 ~ 2000年にかけて1年あたり1000名中42.6名 → 24.4名(減少幅18.2名) (P 0.03)
非糖尿病住民でも見られる現象である。

心血管疾患死亡率は、全原因死亡率と平行して減少傾向であり、26.4名/年減少 (P 0.06).
糖尿病:男性に限っては死亡率減少、女性は増加 in USA_a0007242_10171430.jpg


糖尿病女性での全原因死亡率は2倍に増加(1000名あたり、8.3→18.2/年)
糖尿病:男性に限っては死亡率減少、女性は増加 in USA_a0007242_10183822.jpg




女性ということのadvantageは年次的に女性が悪化しても存在し続けている。

だが、今回、時相的に男女差があることはどういうことなのか?
女性は一般にCVDリスクの改善効果が少ない、降圧剤やアスピリン使用でもその改善効果が少ない。女性はaggressiveな治療がなされにくく、CVDの血管再建後や入院後のアウトカムも少ない。冠動脈疾患の病態生理も症状も複雑なパターンを示し、診断の正確性も低下することとなる。
・・・これらの要因が糖尿病女性の予後に影響をあたえているかは不明ではある。

gender-medicineが女性医師が女性患者を診るという表層的な意義しか主張しないのならその社会的意味合いはきわめてすくないと私は思う。だが、今回の報告のような性差影響を考えることで、女性患者のアウトカムがことなるのなら大いに意義があることとなるだろう。

by internalmedicine | 2007-06-21 10:27 | 動脈硬化/循環器  

<< ブログの規制強化案 骨粗鬆症:カルシウムはサプリメ... >>