オゾン問題
2007年 06月 23日
大気汚染と健康の疫学調査(独立行政法人 環境再生保全機構)がなされている。児童の喘息様症状、成人の持続性せき・たん及び喘息様症状などなんらかの因果関係を認める報告結果があるのである。
中曽根政権というのは、国鉄民営化とともに、医療保険制度,地方財政への手厳しい政策というのは小泉政権と類似していた・・・ともに、財政破綻という恐怖心をあおりつづけ、医療福祉縮小型政策。小泉は聖域無きなんたらといいつつ、大企業(=経団連)主体型政治であったが、中曽根の時代はまだ党の力が強く、日和見的と揶揄された政権でもあった。
その時、日本では医療側はどのように働いたのだろうか?
ところで、オゾンの話だが・・・・日本人はオゾンホールなどの話で、オゾン=善・・・という、考えに振り回されているのではないか?
オゾン消臭などという宣伝をテレビで、批判無く垂れ流しを許し、マイナスイオンとやらの問題でもオゾン産生を生じるので危険というのがGINAのガイドラインでも書かれているといっても反応がいまいち・・
米国では、オゾンの健康被害に関して、アメリカの呼吸器学会であるALAが主体的に、国家を相手に訴訟騒ぎを起こし、オゾン規制を率先して指導している。
米国EPAは、地上レベルオゾン基準の未達成地域を公表し、. 自治体に改善措置を要求する法規制をしくこととなっている。アメリカ関係学会(ALA)の側から解説
Ozone Fact Sheet (ALA: State of the Air: 2007)
・オゾンから国民を護るために何をすべきか?
米国の環境庁に当たるEPA(Environmental Protection Agency )はオゾンの量の限界を設定する必要がある。ambient air quality standardにより、各州・連邦に大気汚染防止を勧めるよう指示。ALAは、各5年ごとのオゾンの健康への影kyほうを調査するClean Air Actを怠ってるとしてEPAに対して訴訟を起こしているため、オゾンの国家的スタンダードを現在検討中である。和解により、EPAは2008年までにその検討を終えることとしている。
オゾン大気汚染減少のため、ALAは炭化水素化合物や窒素酸化物廃棄の産生源である自動車や商業・工業への厳格なコントロールをすることを求めている。
これらのコントロールには
・発電所のより厳しい環境コントロール、古びた発電所を現在の廃棄基準まで引き上げを含む
・現存のジーゼルエンジンをよりクリーンなものにすること
・新車や新しいマリンジーゼルエンジンをよりクリーンに
オゾンはどうして有害なのか?
・オゾンは、いわゆる"oxidizing"により肺組織を科学的に傷害し、オゾンは国内中に多く見られる強力なirritantとして働く。肺の"日焼け”として考える場合もある。
・オゾンを吸入することで短期的にはpremature death増加。しかもこのレベルは、USやヨーロッパの街中で認められる程度である。
・USでの多くの地域では、地上レベルにおいて、夏場数ヶ月健康問題を生じるのに十分なオゾン値となる。
即時問題としては:
・息切れ
・深吸気時胸痛
・喘鳴・咳嗽
・気道感染への感受性増加
・肺・気道の炎症
・喘息発作リスク増加
・喘息、COPDのような肺疾患を有する人たちの薬物・入院のニーズ増大
・動物毒性実験で、長期暴露にて肺へ構造的異常をもたらすこと
だれが危険なのか?
・喘息・COPD(肺気腫、慢性気管支炎)や他肺疾患を有する患者全員
・小児、気道が小さく、呼吸器系防御機構がまだ成熟してない。呼吸回数が多く暴露機会増加する
・高齢者
・戸外労働・運動する健康成人を含めた全員
・Responder:特にオゾンに対して感受性の高い人たちがいる
以上、一部訳をした。
オゾンと喘息は関係ないよ・・・と主張する研究者たちもいる。
呼吸器学会はまちがえているという主張である。こういう議論が公になることは健全だと思う。
何事に対しても、日本では、科学的議論がなされるべき事象でさえ密室的に役人主導型で決まってしまう。パブリックに意見を求めても、行政の都合の良いように取捨選択されてしまう。こういうのが民主主義国家なのだろうか?
by internalmedicine | 2007-06-23 08:42 | 呼吸器系