気道閉塞指標
2007年 06月 26日

(http://www.spirxpert.com/GOLD.html)
上記分布をみると・・・これから異常値を推計するのは、たいへんな仕事だなぁ・・・・と思う
日本のNICE Study(Nippon COPD Epidemiology Study)では“日本にも約530万人の患者さんがいることがわかりました。これは40歳以上の8.5%に上る”と結論づけられたが、臨床例でFEV1/FVCだけで気道閉塞とするのは乱暴なのだが、このような疫学や公衆衛生的な意味合いでは意味だろう
FEV1/FVC<70%を臨床に即となるといろいろ問題を残す・・・机上でのお話と、臨床を対象とする場合は話が別なのである。
NHANES III 参照値がNIOSHに記載されている。
Spirometric Criteria for Airway Obstruction
Use Percentage of FEV1/FVC Ratio Below the Fifth Percentile, Not < 70%
(Chest. 2007; 131:349-355)
非喫煙者対象で、NHANES-IIIの統計的な5パーセンタイルガイドラインで定義された正常下限がもちいられているが、NHANES-IIIの5パーセンタイル以下のFEV/FVC%の約半数は正常とFEV/FVC<70%を異常とする定義により判断されている。
FEV1/FVC Ratio of 70% Misclassifies Patients With Obstruction at the Extremes of Age
Chest. 2006;130:200-206.)
FEV1/FVCのカットオフ値は、70%固定評価とHankinson下限、Crap下限では7.5%、6.9%の不一致例が出現し、年齢が特に不一致原因となり得る。特に年齢>74歳等の場合注意が必要。
RELATIVE SENSITIVITY AND LOWER LIMITS OF NORMAL FOR SPIROGRAPHIC MARKERS OF AIRWAY OBSTRUCTION
(ATS meeting 2005)
FEV3/FVC
FEV1/FVC
FEF25-75
1-FEV3/FVC
非喫煙者5938名、喫煙者3570名スパイロメトリーデータ
正常年齢とともにFEV1/FVC、FEV3/FVC減少し、1-FEV3/FVC増加
1-FEV3/FVCは長い時定数と関連した細葉の緩徐化と関連
中年までこれらのパラメータは、現行喫煙者の約20年前程度の平均レベルまで悪化する。
気道閉塞を示す現行喫煙者の2/3は、FEV1/FVCとFEV3/FVC異常
〃 の1/6は、FEV1/FVC単独異常
〃 の1/6は、FEV3/FVC単独異常
平均FEV25-75予測値<80%なら、>25%の非喫煙者で疑陽性検出してしまう
FEF25-75の95%信頼限界を用いると、非喫煙者では僅か1%のみFEF25-75%異常とならず、喫煙者では拘束性異常をもたないFEV1/FVC and/or FEV3/FVC減少の42%が正常のFEF25-FEF75(偽陰性)として同定される。
FEF25-75を用いる場合は、
・非喫煙者では予測値<80%で引っかけ、95%信頼区間で除外するってことになるだろうか?
・喫煙者ではFEV1/FVC、FEV3/FVCいずれも測定する
日本で普及しているフローボリュームカーブのパターン認識というのはどの程度まで有効なのだろうか?どなたかやってみたらいかがだろうか?フローボリュームカーブはこれらの指標を具有しているので実は胸部レントゲン写真のパターンを見るような診断につながると思うのだが・・・
by internalmedicine | 2007-06-26 08:54 | 呼吸器系