SSRIと骨塩減少・骨折リスク

今年1月にも同じ雑誌に、50歳以上を対象に因子補正しても2倍ほどの脆弱性に基づく骨折リスクがあるという報告、特にSSRI使用とこの骨折リスクが公衆衛生的にも重要という報告である。
Effect of Selective Serotonin Reuptake Inhibitors on the Risk of Fracture
Arch Intern Med. 2007;167:188-194.

この雑誌、このテーマが大好きなようで・・・今回も2編・・・

Association of Low Bone Mineral Density With Selective Serotonin Reuptake Inhibitor Use by Older Men
Arch Intern Med. 2007;167:1246-1251.
SSRI使用者の平均BMDが少ないが、他の抗うつ薬ではそうでない。
補正解析にて、SSRI使用者(n=160)の平均BMDは、抗うつ薬非使用者(N-5708)に比べて総股関節で3.9%低く、腰椎で5.9%低い (n = 5708 [P = .002 for total hip; P<.001 for lumbar spine]).
trazodone hydrochloride(n=52)と三環系抗うつ薬(n=99)と未使用者の間は相違がない。
BMD and/or SSRI関連因子補正後のこの結果の有意差はなくなった。
この現象は糖質コルチコイドでみられるBMDとの関係に類似する



Use of Antidepressants and Rates of Hip Bone Loss in Older Women: The Study of Osteoporotic Fractures
Arch Intern Med. 2007;167:1240-1245.
老人うつスケール(Geriatric Depression Scale )を含めた寄与因子補正後、
平均股関節BMDは
非使用者:年0.47%減少
SSRI使用者:年0.82%(P<.001)
TCA使用者:年0.47%(P=.99)

骨代謝回転がSSRI使用者の2つの股関節subregionでもみられた。
うつスケール6点の女性を除外しても結果変わらず。


“セロトニンが、副甲状腺ホルモン・機械的な刺激の骨格への影響をmodulateして、骨生理学に重要な役割をはたす”って説明があったが、訳がわからん。

Inhibition of the Serotonin (5-Hydroxytryptamine) Transporter Reduces Bone Accrual during Growth
Endocrinology Vol. 146, No. 2 685-693
1)5-HTT(serotonin(5-hydroxytryptamine)担体)をencodeしている遺伝子へのnull mutation
2)SSRI投与下での育成マウス
の研究で、5-HTT抑制が有意に骨塩付加に破壊的な有害作用を持つことが示されている。
・・・ということ


アクトスは骨折リスク増加(FDA安全性情報) もそうだが、SSRIでもSSRIの重大な副作用:異常出血増加利尿剤 スピロノラクトンが消化性潰瘍や出血と関連?など副作用報告ちゃんとされてるんか?・・・と、疑問に思えることが多い。論文に繰り返し出ている副作用くらい報告があってもしかるべきと思うのだが・・・
処方が今後後発主体になれば、製薬会社としても、ますます、副作用報告に関して手を抜くと思うのだが・・・そのへんのセーフティーネットとやらはできてるのだろうか?

by internalmedicine | 2007-06-26 11:48 | 運動系  

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