司法にナラティブはフィットするのか?

山口県光市母子殺人事件に関して、弁護側証人が、“ストーリー”と述べている。この主の犯人には個人的な憎悪の感情を私も持つのだが、この、“ストーリー”という言葉に対しては、多く小野人が勘違いしているのではないか?・・・と、感想を持つ。

・・・・というのが、証人である加藤幸雄氏は心理学の専門家らしい。故に、“narrative approach”の側面から、述べたのではないかと・・・裁判資料を正確に読めばよりはっきりするとは思うが・・・

私は、弁護士連の法廷戦略として、このナラティブアプローチを使うことに対して疑問をもつ。それは、ナラティブアプローチはあくまでも、治療者と被治療者の二者間に関するものが主であり、bystanderに対してアプローチするものではないからである

物語(ナラティブ)的医療 私感でのべたが、このアプローチは、“傾聴”の一形態であり、客観性のアプローチであるEvidence-basedな方法論とともに使って初めて効果のある代物なのである。この方法論が法廷で通用するかは、結局のところ裁判官次第だが、“ナラティブ名人たちは、「我々は袋小路に陥っている」状態なのである。

法廷戦略として行うとすれば、客観的エビデンスとともに、この物語論を展開する手法が定着するか大事な転機だったと思うのだが・・・拙速な感を否めない。
ナラティブ・アプローチ側から見れば下手なことをしたなぁ・・・と個人的感想。
・・・このことが、日本のこの分野の研究の妨げにならなければよいが・・・・


“当該弁護士のトンチンカンなインタビュー”という感想と、“ストーリー”の意味合いを勘違いした情緒的怒りが、ネット上にあふれているし、報道する方もその意味合いを理解してないのでは?・・・

by internalmedicine | 2007-06-29 07:16 | 医療と司法  

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