薬物療法も心理療法も、治療開始後自殺頻度は変わらない

SSRIと自殺との関係が某新聞社を中心に議論を引き起こそうとしているようだ・・・(特定の背後関係のにおいがするが)。心理療法にせよ、薬物療法にせよ、うつ→正常化 というmoodの変容そのものが、自殺企図へ影響を及ぼす可能性がある・・・と考えるのだが・・・と再度書き込み!


さて、SSRI処方による自殺増加への反論?・・・これもこれでちょっとあやしいのだが(対照が心理療法という・・・)

自殺頻度パターンは治療の種類に関係ない・・・ということで、治療薬そのものの作用でなく、うつに対する介入行為そのものにより思考や行動変容を生じてしまう結果?

Suicide Attempts Among Patients Starting Depression Treatment With Medications or Psychotherapy
Am J Psychiatry 164:1029-1034, July 2007
プライマリケアでの抗うつ薬処方開始後の外来患者訴えを用いた研究
・プライマリケアでの抗鬱薬治療(N=70,368)
・精神科での抗鬱薬治療(N=7,297)
・初回心理療法受診後(N=54,123)


前90日と後180日

自殺企図
精神科での抗うつ薬治療:1,124 / 100,000
心理治療開始:778 / 100,000
プライマリケアでの抗うつ薬治療:301 / 100,000



時間とともに企図パターンは三群とも同様となる。
治療後次月が最も高く、徐々に減少する

薬物・心理治療の間のoverlappingを受けた患者を除外しても変化無し

自殺気との包括頻度は思春期・若年者に多いが、時間的なパターンは同様である。

by internalmedicine | 2007-07-03 10:21 | 医療一般

 

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