米国での代理意志決定者のない場合の延命処置中断はどのようにされているのか?
2007年 07月 03日
「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」の作成が日本では急がれているが、一般化可能なのか、そして、医師への免責が法律上まもられるのかなど疑問が残る。
米国のICU医師は、事前指示書(advance directive)といわゆる代理者の意志決定で、それを行うことができる。それがない場合はどの程度の頻度なのか?そして、法律に従い、実行されているのかという調査結果がAnn Int Medに報告されている。
日本では制度が不備のため医師たちが逮捕・起訴されている。ほんとに馬鹿な現状だと思う。この間にも、無用な延命が行われ、患者自身もいわれのない苦痛だけの時間を過ごさなければならない現状を、世間はどう考えているのだろうか?
Life Support for Patients without a Surrogate Decision Maker: Who Decides?
Ann Int Med 3 July 2007 Volume 147 Issue 1 Pages 34-40
【状況】2004-2005年の7つの医療センターICU
【対象】3011の連続した重症成人患者
【結果】
ICUの死亡例において、本人の代わりに意志決定する人を持たず、事前指示書(advance directive)を持たない治療不能者の割合は5.5%(25/451)
その頻度は、7つのセンターで0-27%のばらつきがある
医師は37名の患者のライフサポートを制限しようと考え、代理がいるなら行おうと考えた。
6名の患者では前向きの病院自体の審査があり、1名では法廷での審査があった。
のこり、30名において、ICUチーム単独であるいは、他の主治医によって決定された。
このような対象者のlife-support decisionに対して、病院の方針、専門学会ガイドライン、州の法律においてばらつきがある。
37のlife-support decisionのうち36事例は、司法審査のACPガイドラインに一致した者ではなかった。
これを見てわかるが、日本に比べればマシだが、アメリカの末期医療でのmaking decisionも決して整備されているとはいえないのである。日本では逮捕にいたるであろう、チームだけの決定による延命中断もなされている。
だれも幸福にしない、無意味な延命処置の強制は、一部常軌を逸脱した人権主義者たちによって、いびつにされ、司法・行政(警察を含め)により、非常に不可思議な状況になっているのである。
by internalmedicine | 2007-07-03 12:12 | 医療一般