「医療ファンド」

昨日のNHKクローズアップ現代をみるまで、実はその詳細・・・知らなかった。


日経新聞はやたらと株式会社参入を勧め、経団連主張通りの紙面作りの新聞だがそれに・・・
医療には株式会社の参入は原則認められていない。このため医療ファンドは病院や介護施設の株式でなく、土地や建物を取得したうえで施設に賃貸。事務の効率化や機器の調達など経営改善策を指導し、賃料収入を安定的に確保する。医療ファンドの広がりは実質的に株式会社による参入と同様の効果をもたらす(H19.4.5)
と書かれている。


うさんうささ・・・満載だなぁ・・・という直感をもっていた。


たまたま、薬剤卸がもってきてくれた、メディカル・クオールという雑誌にその説明が書かれていた。

ファンドの3パターン
・ ベンチャーファンド:新しい事業をゼロからスタートさせる
・ バイアウトファンド:有る程度成長した企業の価値をさらに高める
・ 再生ファンド:業績が低下し、破綻の懸念がある企業を再生させる


ファンドの特徴
・ 経営者を送り込んでくる
・ 株式売却の利益を目指す


バブル以降、銀行の融資先企業への信用リスク管理が保守的となり、融資先である医療・福祉関連の格付けも下げられ、銀行の返済も5-7年と短期化し、事業計画を建てること自体医療機関が難しくなってきた。

一方出資者は、銀行、保険会社、年金基金、大学、商社、メーカー、地方公共団体と広がり、資金の運用先として医療や福祉が注目されている現状


PETセンターでの事例
特定目的会社(Special Purpose Company)が土地・建物、PET等の検査機器を取得し、「所有と医療の分離型事業」モデル
「医療ファンド」_a0007242_17261890.jpg



基本的には不動産投資ファンドと同じで、大企業本社ビルなどをファンドが購入して、テナント料収入で利益を生み出すという構造。オフィスビル、賃貸住宅、商業施設、物流施設、ホテルと対象拡大し、行き着いた先が「医療」というわけらしい

注目すべきは・・・
・ ファンドの目標は出資金を10年で2~3倍に達成債のために寝られる詳細な「出口戦略」
・ ファンドが目指すべき利回りは、おどろくほど効率
・・・である特徴

たとえば投資家が銀行の場合、銀行はリスク回避のため、10のファンドに10億ずつ出す、10のうち7つが失敗しても残り3で全体が2~3倍を目指すという意味であり、成功した投資にはさらなる要求がなされる。ファンド運営会社はさらに2~3%管理報酬を要求し、結果的に10年で400%もの利回りを求められる。



そして・・・ファンドの医療介入の最大の問題点
・ 形式上賃貸契約のみでスキーム形成される場合があるが、影響力を完全に排除は困難
高利回りを実現するため、土地・建物を完全にファンドが手に入れ、運営のみを医療機関が行うという「上下分離」の場合、不採算部門は当然のように閉鎖、収益重視のコストカット、最大限の利益を求めての目先の利益稼ぎ



・・・非利益性はこれで完全に形骸化しているのである・・・背後に財務省の意向があるのは明らかであろう。


銀行融資とファンド
 ファンド資金と銀行融資資金の圧倒的な違いは、銀行融資が元本と利子返済を前提に資金調達するのに対し、ファンドは投資であるため、「返済」という概念がないことにある。しかし、それは決して「簡単な資金調達法」ではない。投資とは、資金を注ぎ込むことによって投資対象の価値を増大させ、その価値増加によってより大きなリターンを享受するという考え方だ。

 ファンドは、出資者から資金を集め、それを効率的に運用し、出資金を何倍かにして、出資者へと返す。たとえば、価値のあるアイディア技術をもちながら、それを実現する資金をもたない個人や企業がある。
 ファンドは出資者から集めた金を、個人や企業に投資し、アイディアや技術を実現する。そして、実現された製品やサービスを売った利益によって、投資額以上の見返りを得ようとする枠組みだ。



しかし、こうした手法が果たして医療や福祉の経営に馴染むのだろうか

銀行・商社主導による医療ファンド設立によりこうした施設にも資金注入し、経営効率化を目指そうとする動き・・・というのは、その主眼は患者になく、投資に見合った利益獲得になるのだ

「銀行借入であれば元本と金利を近さねばならず、経営の圧迫材料となりますが、ファンドは基本的に元本も返さず、無利子です。ある意味ではいいことずくめで、使い勝手のよい資金調達ともいえます」と、書かれている。・・・ついついこれに手をだして・・・医療の長期的展望を見誤ったと言うことにならなければよいのだが・・・



厚労省・財務省などは医療におけるファンドの規制をするきがないのだろうか?


ファンド側からすれば、破綻するであろう事例も計算のうちなのである。地域医療にこのファンドが介入すれば当然破綻する事業が出てくる。財務省・厚労省は医療破綻を放置することとなるのである。・・・不作為そのものではないだろうか?



それにしても財務省は今期の収入を見誤ったそうだ、かなりの減収になるようだ。医療における医療ミスとどうかだと思う。なぜ彼らは個人的に責任を追及されることはないのだろうか?フィードバックのかからない財務とを続けている限り、日本の財政は改善するはずもない。

by internalmedicine | 2007-07-05 17:26 | くそ役人  

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